青い珊瑚礁 ~機動戦士ガンダム~


 緑の鋼鉄の巨人。1つ目が不気味に輝いたかと思うと、逃げ惑う人々を殺していく。まるで、サイクロップス。
 父が母が祖父母が、私の目の前で殺されていく。隣に住んでいた人も、仲良しだった友達もすべて。犬や牛や家畜まで。
 1つ目の巨人は、食べるために殺すのではない。「殺す」ためだけに殺すのだ。皆殺しの風、殺戮の嵐が吹き荒れていた。巨人の通り過ぎた後に生き残ったのは、この私だけ。
 巨人のピンク色した単眼が私に気付く。そして足がすくんで動けない私に巨大なマサカリが私に振り下ろされるのだ・・・

・・・!・・・
 目を開ける。私は夢を見ていたのだ。そう悪夢を。
 寝床から身体を起こしてみる。
 身体中が寝汗でべっとりしている。油がもったいないので、ランプは灯せない。何だか汗臭いような気がする。ふと気がつくと下腹部に違和感があった。
・・・あっ・・・
 始まっていた。悪夢を見ながら、月に1度の現象が始まっていた。鈍く熱く痛む下腹部をさすりながら私は、表に出た。
 空には満天の星空が輝いている。正に降るような星空だった。数日前には流星群が見れた。最初は8つ、9つと数を数えていたが、途中で判らなくなってやめたくらいだった。
 そのロマンチックな光景とは裏腹に、私の下腹部がしくしく痛んでいる。
 私は悪態をつきながら(神様、ごめんなさい、私は悪い娘です)、砂浜に向かって歩く。
 途中、熱帯樹林に何度かつまずきながらも、海に出た。
 黒くて深い海。船の光など見えはしない。ただ、穏やかな波の音だけが聞こえている。そして見上げれば、お星様いっぱいの銀河。
 風が吹く。汗ばんだ私を冷やすかのように吹く。しばらく砂浜に立ちつくして、風が私の汗といやな匂いを運んでくれるのを待っていた。
 段々闇に目が慣れてくると同時に、私は砂浜に座り込んで暗い海を見ている彼の姿を見つけていた。
「!」
 声を掛けようとして躊躇する。海をじっと座ったまま見つめる彼の顔には、いつにない真剣さが感じ取れたからだ。彼はそのうち、顔を膝の間に埋めて、髪の毛をくしゃくしゃとさせた。
・・・悩んでいるみたい・・・
 私はそっと彼に近づいて、隣にあった流木の上にちょこんと座り込むことにした。
「あ・・・眠れないのか?」
 私に気づいて、彼・・・ククルス・ドアンが言った。
「ん・・・悪い夢見て、目が覚めちゃったの。」
 彼の顔が歪んだ。
「例の夢か?俺達ジオンのやった、皆殺しの夢か?」
 ドアンはもう充分に苦しんでいる。彼もまた私と同じ夢を何度も見て、のたうち回っているのを私は知っていた。だから首を振って、ウソをついた。
「違うの。ドアン・・・違うの。起きたら忘れちゃった。」
「そ、そうか、ロアン・・・もう寝るんだぞ。」
「うん、判った・・・だからもう少し、このままでいさせて。」
 私はドアンの肩に頭を預けた。彼が一瞬、びくっとしたが、大きくて広い肩が私を支えてくれている。
 こうすると私は安心して落ち着けるのだ。
 波の音だけが聞こえていた。その音を聞きながら、私はだんだん眠くなっていくのが判っていた。もう汗臭さや下腹部の不快感を忘れていた。

 彼、ククルス・ドアンはジオン軍の脱走兵だ。ここ東シナ海の孤島で私達数人の子供達を養ってくれている。だけど、私達を孤児にしたのもまた彼の所属する軍隊だった。
 焦土作戦とやらで私達の住んでいた近郊の数村が、その対象となったのである。
 初めは私達は彼のことを憎んでいた。肉親を、友達を殺されたのだ。憎むなという方が無理だろう。
 だが、寡黙で献身的なドアンの姿勢に私達は心を開いていったのだった。

「ねえねえ?」
 ドアンと一緒にお風呂に入っていた子供の1人が、裸のまま飛び出してきた。こういう子供の世話も1番年かさの私の役目だった。私はタオルでその子の身体を拭いてあげる。
「ロアン、秘密を教えてあげる。誰にも言っちゃだめだよ!」
「うん、なになに?」
「あのね、耳貸して。」
 本当はすぐに濡れた身体を拭きたいのだが、耳を近づけてあげた。
「あのね・・・ドアンのおちんちんね、すんごく大きいんだよ!」
「な、何言ってるの!」
 私は慌てて身体を拭き始めた。
「だって、すんごい大きいんだよ!困ってるって、ドアン、笑ってた!・・・痛いよ、ロアン、力入れないでよ!」
「男の子でしょ、我慢しなさいっ!」
 ごしごし拭いて、パンツを履かせてやってから、ぽんとお尻を叩いた。
「さ、もういいわよ、行きなさい!」
「うわ~ん、ロアンが怒ってる!」
 私はため息を吐いた。

 お湯の中で私は考え込んでいる。
 『ドアンのおちんちんね、すんごく大きいんだよ!』
 その台詞が頭から離れていかない。こびりついたように離れないのだ。
 『大きいんだよ!』
・・・大きいってどれくらいなんだろう?・・・ビール瓶かな、それとも、きゃっ・・・
 恥ずかしくなって、お湯の中に潜り込む。
 そのうちのぼせてきた。

 お風呂からでてテーブルに着くとドアンが立ち上がった。
「ロアン、どうも戦争が終わったようだ。」
「え?」
「・・・あのラジオ、暗号が流れないんだ。普通のニュースとか、天気予報とか、番組までやってる。終わったかもしれないぞ、連邦とジオンの戦争が。」
「そう・・・あ、ドアンどこ行くの、一緒に食べないの?」
「機械の調子見るんだ。倉庫に行ってるから。」
「また、汚れちゃうわよ!せっかく、お風呂から出たっていうのに・・・」
 ドアンは笑って出て行った。
 私は子供達相手に食事を始めた。

 最近のドアンは変だ。私を避けるようなフシが感じられている。
 特に夕食の時に避けられているような気がする。
・・・倉庫?倉庫で、ドアンは何やってんだろう?・・・いつも夜寝るまで倉庫に閉じこもってるドアン・・・
 最近、工作機械で何か作ったり、また完成品そのものを見たことがない。
 1度思った疑問がもくもく広がっていく。
 私は騒いでいる子供達を残して、ドアンが引きこもった倉庫に行くことにした。

 私達の住んでいる所から倉庫は少し離れている。食堂を子供達だけにするのは少し心配だったが、ドアンの方も心配だった。
 扉にはカギが掛かっていない。少しだけ開けて、中を覗く。
「!」
 ドアンが背を向けて椅子に座っている。ランプだけしか照明がないので、何をしているか判らない。ただ、機械工作をしているのではなさそうだ。
 左手に何か布のようなモノを持って、顔を近づけているようだった。
「・・・新しいの、欲しいな・・・」
 ドアンが何やら呟いた。そして鼻をくんくんと鳴らして布の匂いを嗅いでいた。
・・・何だろう、あの布?・・・
 左手が高く上がって、ランプの光にさらされた。
・・・!・・・あれは・・・私の・・・
 ガン、ガ~ンと頭がハンマーに打たれたみたいだった。ドアンが持っていた布、それは私が最近なくした下着だったのだ!
 思えば洗濯する前になくしてしまったのだが、困っていた私にドアンは動物でも持っていったんじゃないか、なんて慰めとも冗談ともつかない口振りで言っていた。
 それが、今、ドアンの手許にある・・・何で?
 くらくらした。めまいがした。あの温厚で穏やかなドアンが・・・
「ドアン!」
 私は思わず声を出していた。途端にドアンがびくっと震え、こちらを向いた。
「ロ、ロアン・・・」
 口をあんぐりと開け、驚くドアン。彼の下半身が丸出しで、子供達が言っていた『すんごく大きいおちんちん』がこっちを向いていた。
「ど、どうして・・・私の下着を・・・」
 子供達に聞かれるのもいやだったので、私は後手で扉を閉めた。
「あの・・・その・・・いや・・・その・・・」
「ドアンは、下着泥棒だったのね!」
 悔しさで胸が痛くなった。
 信じていたドアン、みんなのドアンが・・・変態だった。
 口をぱくぱくさせていたドアンはやがて諦めたように下を向いた。そしてごそごそとズボンをたくし上げ、露出していた下半身を隠してからため息を吐いた。
「そう・・・盗んだのは俺だ。」
「ドアン、居直る気?」
 語気を荒げて私は言った。
「ロアン・・・最初にここにきた時、お前は子供だった。」
「話すりかえようたって、騙されないわ!」
「違うよ・・・でも、あれから数ヶ月・・・お前はだんだんきれいになってきた。まぶしいくらい、きれいになってきた。」
「何の話よ!」
 戸惑いながらドアンの次の話を待っていた。変だった。足が次第に震えてきていた。
「俺もね、男なんだよ!そりゃ、過去の過ちの償いに、みんなを守るよ。でも・・・でも・・・」
 ドアンの声が小さく聞こえなくなった。
「はっきり言ってよ、ドアン!」
「俺だって、健康なんだ、神父じゃあるまいし、人並に性欲つうモノがあるんだ。」
「・・・」
「あんまり女の子には判ってもらえないだろうけどな、我慢してると辛いんだよ!」
 ドアンは半ばヤケクソ気味に言った。私はいつのまにか、視線を落としていた。
「湯上りのロアン、いい匂いがする。もう側にいたら発狂しちゃうよ、俺。だから、悪いと思ったけど、下着を失敬して・・・」
「失敬して?」
「いや・・・その、あの・・・自分をだな~自分でだな・・・もういいだろ?勘弁してくれよ。」
「ずっと我慢してたらどうなるの?」
「!・・・死ぬかもしれない・・・ってウソだけど。ま、いつかロアンに襲いかかっちゃうかもしれないな。」
「そんな度胸、ないくせに。」
 ドアンは急にからからと笑い出した。
「そうだな・・・そんな度胸はないな・・・済まなかった、ロアン。」
「あのね・・・ドアン?」
 私は一生懸命言葉を探していた。そして目をドアンに向けた。
「あん?」
「あの・・・わ、私に何かできることは、ないの?」
「・・・うん、ない。明日また普段通りのロアンでいてくれればいい。ムシがいい頼みなんだけど、子供達には黙っておいてくれないか?」
「判ったわ。」
 私は何かを期待していた。だけどドアンは、本当に機械いじりを始めていた。
 あてが外れたような気がした。

 その晩はなかなか寝つけなかった。ひどく蒸し暑い夜だったが、私自身の方が熱いみたい。
・・・身体が熱い・・・じんじんする・・・
 さっきは怒ったせいで気づかなかったけど、私はドアンの『すんごく大きいおちんちん』を見てしまっていた。
 あのカタチ、大きさが今頃になって思い出されていたのだ。
・・・あの子の言った通りだ、『すんごく大きいおちんちん』・・・
 女の人って、あんなの『入れちゃう』のかな・・・『入っちゃう』のかな・・・
 乏しい今までの性知識を総動員してみる。
・・・男、女、性器、粘膜の擦りあい、赤ちゃん・・・私、ドアン、私の女の子と『すんごく大きいおちんちん』がくっつく・・・やだ、何考えてんだろ、私・・・何で私とドアンなんだろう・・・でも、ドアンのこと、キライじゃないし・・・
 下腹部に自然と伸びていた手に何やら湿った感触が触れた。
「?」
・・・おもらしじゃないよね、何だろ、これ・・・
 にちゃ、ねちゃっていう感じ。身体の奥深くから溢れる樹液は、まるで透明な蜂蜜みたい。こわごわ触れた指先が下着を潜って、私の女の子に直接当たった。
「あ・・・」
 思わず声が出た。誰かに聞かれないかと、辺りを窺うが私1人の部屋と気づく。安心して右手で女の子を軽く撫でてみた。
「あっ・・・」
 身体が浮き上がるような感じと甘美な感覚。電気が走ったみたい。
 中指が大切な所の穴の縁を遠慮がちに触っている。人差指が肉の芽に触れた。
「あ・・・あ・・・はぁん!」
 また声が出ちゃう。小さな鏡を左手で持って女の子を写してみると、そこには薄い毛の間から赤く充血した肉の芽があった。
・・・き、気持ち悪~い・・・
 大きくなった肉の芽がひくひく動いている。指で撫でた分だけ、蜂蜜がそこからたくさん出てくる。スコールの後の増水した池みたいだ。
・・・おっぱい、痛いよ・・・
 鏡が落ちた。左手で服に擦れて痛くなっている胸をさすると、何だかとっても気持ちいい感じがする。たまらなくなって服の下に手を入れてみた。
・・・乳首、固くなってる・・・
 私の乳首。乳房がまだ小さいのが悩みのタネだけど、自慢はピンク色の乳首。
 それがぼんと勃起してて、痛くなってる。痛いといっても苦痛ではなく痺れているようだった。
 きゅきゅと摘むとまた身体中に電気が流れる。
「はぁ、はぁ、あ、あ、あ、ん!」
 はしたない声が出てしまった。もちろん女の子自身にも触り続けている。
 目の前をピンク色の霧が包んでいるみたいだ。頭の芯がぽーっとして、オバカさんになっていく。
 女の子の入口周辺を掻き回すと、どんどん蜂蜜が来ていた。
「あん・・・あん・・・あ、あ、ああん!」
 太股を大きく広げて没頭する私。あられもなく、恥じらいもない私。くちゅくちゅいやらしい音を立てる私の身体。
「ドアン!ああん、ドアン、ね、私、ドアン、おかしく、ああ、おかしく、あ、おかしくなっちゃうよ!!」
 いつのまにかドアンの名前を呼びながら、私は何度となくむせび泣き続けていた。

 翌朝、私はもうドアンの顔を見れなくなっていた。何故かドアンも私の方を見ないで、子供達とばかりお喋りをしていた。
「ね、ドアン・・・」
「うん?」
 勇気を出して話し掛けても、ドアンは子供の方ばかり見ていて、私を見ようともしない。
「ドアンったら。」
「さ~て、仕事、仕事。」
 私は、農園に子供達と向かっていくドアンの後姿をじっと見ていた。
 昨夜の自分だけの悦楽の光景が、なぜかドアンの姿とかぶっているような気がしていた。

 それからは、私1人だけのお楽しみの作業が、毎晩続いた。
 最初は色々空想していた。お相手は、いつかこの島に来た、アムロとかいう繊細な顔立ちの男の子のことを考えたり、昔村で1番好きだった男の子だったり、色々だ。
 でも、最後は決まって、私に圧し掛かっているのはドアンだった。
「ドアン!ああ、ドアンッ、やだ、やだ、あん、あうあうあう、ああっ!」
 指で女の子を描き回す。瞼の裏には必ずドアンがいた。
「あ、やだ、やだ、はぁん!!」
 何てみだらな女の子になってしまったのだろうか、と終わってから後悔するのに、自然に伸びる指の動きを止められないのだった。

 終わった後、まだ火照る身体を冷ましに、海岸に行く。
「あ!」
 今夜はそこにドアンがいた。久しぶりだった。私は黙ったまま、海を見続けるドアンの隣に腰掛けた。
「・・・」
「・・・」
 ドアンも私も何も言わない。さっきまで疼いていた身体はもう鎮まってはいたが、今度はなぜか胸がどきどきしていた。
 沈黙に耐え切れなくなって、指で砂浜に落書きを書いてみる。最初訳の判らない絵が徐々に形になっていく。
「?」
 自分の絵に赤面した。思わず砂にあの『すんごく大きいおちんちん』を描いてしまっていた。
・・・バカ、バカ、バカ・・・
 慌てて絵を消した。ドアンに見られはしなかったかと心配で心臓がばくばく高まっていた。ドアンの横顔を盗み見ると、彼はずっと暗い海を見ていた。
「ふう・・・」
 安堵のため息が出た瞬間、
「ロアン。」
 とドアンの声がした。
「何?」
 私の声がかすれていた。
「・・・毎晩は身体に毒だぞ。」
「!・・・な、何のこと?」
 身体がカーッと熱くなっていた。
「毎晩のオナニーは身体によくないぞ。」
 熱くなる身体と反対に、頭から冷水を掛けられたように顔が蒼くなるのが判っていた。思わず立ち上がって、ドアンを見下ろした。
「ド、ドアンのバカ!」
 ドアンはゆっくりと私を見た。
「子供達に言われたんだ。ロアンお姉ちゃんの部屋から、大きな声がするって。うなされてるのかなって、心配になって・・・」
「・・・部屋を覗いたのね!」
 ドアンに最後まで言われたくなくって私は言った。
 こくとドアンはうなずいた。
「・・・ロアンが裸で、自分の・・・」
「やめてよ!!・・・下着泥棒だけじゃなくって、覗きまでするのね、ドアンは!」
 悔しくって、悲しくって涙が出た。
・・・私のバカ、バカ、オバカさんっ!・・・
 そのまま逃げようとする私の手をドアンが握りしめた。
「離してよ、ドアン、手を離しなさいよ!」
 逆にドアンが私を引っ張った。強い力に抵抗できずに、私はドアンに抱かれていた。
「いや、いやよ!」
「ロアンも、俺と一緒に、我慢できなくなってたんだな。」
「え・・・?」
 驚いてドアンの顔を見る。柔和な笑顔になぜか悲しい顔が混ざっていた。
「ド、ドアン?」
「ロアンが好きだ。」
「!」
 ドアンがキスしてきた。その瞬間、骨が溶けてしまったような気がして、私は泣いていた。キスをしながら、ようやく自分の気持ちに気づいていた。
 私はドアンが好きだったのだ。今、初めてそれが判ったのだった。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 誰も来ない砂浜で服を脱がされたままの私は、ぎゅっとドアンにすがりついている。きつく固くドアンを抱きしめている。
「本当にいいのか?」
 さっきから4回目の問いだった。私は声も出せずに、ドアンにうなずいた。また唇が奪われた。地面に敷いたピクニック用のシートの下から、冷えた砂の感触が心地いい。
「・・・ドアンも裸になって・・・私だけ、なんてずるい・・・」
 ドアンの体臭を思い切り吸いながら、私は恥ずかしさを隠すように言った。私はシートの上に転がされて、ドアンが全裸になった。半月の薄明かりの中、例の『すんごく大きいおちんちん』のシルエットがぼんやり見えている。
「ああ・・・ロアン・・・何てスベスベした肌なんだ・・・」
 ドアンの熱くてざらざらした舌が私の小さな乳房に吸いついた。きゃんと小さく叫んで、私の身体が反っていた。最初、含むだけだった乳首に舌が這いずり回ると、声が大きく、そして身体に流れる電流みたいなものが大きくなった。
「あ・・・あ・・・あ・・・あ、あ、あ、あ・・・」
 もう片方も吸われる。ドアンの空いた指がおへそから下がってきていた。なぞるような指に触れる皮膚が、私の全神経となっているようだ。くすぐったいやら、恥ずかしいやら、熱いやら、私はもう意識もなくなりそうだ。
「くぅ・・・んうっ!」
 足の合わせ目に指が来た。ぴくんぴくんと知らず知らずのうちに身体が痙攣する。やがて、ごつごつした指が微かに私の肉の芽に届いた。
・・・いつも自分で撫でている肉の芽が、今、ドアンに・・・
「はぁ、はぁ、あ、ああ、ああっ!」
 肉の芽がそろそろと撫でられている。そして、乳房にあったドアンの顔がそこへ移動していった。
「ド、ドアン?・・・何するの?」
 返事がない代りに濡れた舌の感触が股間にした。ぬらぬらしたなめくじのような舌に驚いて、足を閉じようとしても、ドアンが許してくれない。むしろ力をこめて足を開いたままにするのだ。
「はぁ、はぁ、ああ、やだ、ドアン、き、汚いのに・・・あ、ああん、ドアンったらぁ~」
 最後の声が途切れてしまった。女の子の奥に息づく何かがうごめいているようだった。何度となくドアンの舌が生き物のように這いずり回っている。同時に肉の芽への刺激が強くなってきていた。
「や、や、やだ、やだぁ、ああ、ああん、んうっ、くうっ~!!」
 ドアンの頭に手を当てて、この変な感覚から遠ざかろうとしても、巨大な岩石に押さえ込まれているような感じだった。ドアンはピクリとも動かずに、私を舐めるのに熱中していた。
 何かがうごめいている。自分の指ではなかなか捕えられなかった何かが、近づいていた。
「やだ、やだっ、あ、あ、あ、いやっ!」
 本気でいやがってるのではない。それに逃げたくても、もう逃げられそうもない。
 うごめいていた何かが途端に弾けた。身体の奥底から津波のような何かの奔流が来ていた。私は訳も判らず、叫び、痙攣していた。
「や、やあ、あ、ああ、何、何、あ、何か来るう、来てるっ!!」
 のたうち回った。のけぞった。汗びっしょりになりながら、私の手が空を掴もうとしてる。そして身体が浮いているような感覚に、痺れてしまっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 固く目をつぶったままの私にドアンの声が聞こえた。
「気持ちよかったかい?」
「・・・」
 返事をしようとしても、言葉が出て来ないし、言葉にならなかった。頭の隅々までぼけているようだった。
「いくよ。」
・・・いくよ、って何のことだろう・・・もうダメ、何も考えられないし、力も入らない・・・
 ドアンの顔がうっすらと開いた私の視界に入ってきた。どこか緊張したようなその顔が愛しくて、私はキスを求めた。彼の唇から、私の蜂蜜の味がしていた。
「あ・・・!!・・・ああ、あっ!」
 固い鋼鉄のような何かが、女の子の中心に当った。無意識に私は身体を上にずらそうとした。だがドアンの腕に抱きすくめられて、再び固いそれが当った。私は無意識にまた逃げようとした。
「恐くないからね・・・さあ、力抜いて・・・」
 またキスをされた。そして・・・それが来た。
「あっ、あっ、あ!・・・い、痛い、痛いよ、ああっ、ドアン!!」
 跳ね返そうとしてもドアンの身体が重い。女の子の中心にヤケドのような痛みがした。それは私のぼんやりとした頭の中をはっきりとさせるには、充分なくらいだった。
 動かない壁のようなドアンの身体を叩く。ドアンが更に突き進んで来た。
「ひどい、ひどいよ、ドアン、あっ・・・あ・・・あ・・・死んじゃうよ、ああっ、痛い・・・」
 余りの痛さに声が枯れた。涙まじりの目で空を見る。半分になった月が無慈悲なくらい美しかった。
 抵抗をやめた私の上で、ひたすらにドアンが動いている。声を殺して泣きながら、私はひたすらに堪えていた。
・・・『すんごく大きいおちんちん』を知った代償がこの痛み、なのね・・・
 ぼろぼろ涙が出て来た。
 相変らず半分の月が、涙にぼやけながら私を見つめていた。

 あれから数ヶ月が過ぎた。
 今では、ドアンと私は毎晩のように求め合っている。
 痛みも最初の2、3日だけで、私の身体は徐々にドアンに馴染んでいくようだった。
 しまいには昼間でも、子供達から隠れながら
「あ、あ、あっ、ドアン、ドアン、いい、いいよ、ああっ、いいっ!」
 なんて声をあげるようになっていた。
 自分のことながらあさましい、なんて思いながら、ドアンにしがみついていた。
 上になり、下になり身体を揺すって悦楽を貪っていく。もう少女の私はどこかへ行っていた。
「あん、いい、感じちゃう、あ、あ、あ、いい、いいっ、あん、もっとして、もっとしてっ!」
 島の向こうに青く美しい珊瑚礁が見えていた。

(了)

亭主後述……

これまた反響が薄そうな物語……ククルス・ドアンとロアン・チュアンです。(笑)
ロリコンの(ガンダムってこればっか)ドアンが己の欲望を満たすため、少年少女を愛玩するお話でしたね……(全然、違~う!)
あの忘れられた連中はその後、どうなったんだろ、という疑問から書きました。
もう、ロアンちゃん、病みつきです。
「青い珊瑚礁」はブルック・シールズ主演の映画から頂きました。松田聖子さんではないので、ご注意を。
ちなみにドアンの非武装ザクが、丸太でアムロを迎撃したのには驚きました。(爆)