ボールペンのキャップの方で、なぞってみる。
自分でも言うのは変だけど、柔らかい曲線に沿ってなぞってみる。
「……あ、はぁ、ん……」
声が洩れてしまった。
慌ててドアの方を見て、ロックされているのを確かめて安心してから、もう一度行為に頭を集中させることにした。
たちまち、中心から湿った気配が立ち上ってくる。
つん、つん、つん、キャップが薄い布切れに食い込んだ。ジワリとするその手応えに、我ながら感心してしまい、更に奥へ進めてみた。
「う、うっく……あ、あ……」
学習机に足を乗せると、イスがキイと音を立てる。
中途半端な格好がいやで、お尻を浮かせてみた。下着を脱いで片膝に引っ掛けたまま、私は続けた。
ボールペンで直接触るのは、まだ恐い。だから今度は指を使った。貝を合わせたような、薄いピンク色のあそこが、今はまだぴっちりと閉じられている。
広げるのが、恐い。いつか、その日がくるのだろうけど、恐い。
ここに、男性のあそこを受け入れるなんて。
写真でしか見たことないけど、あんな怖いものを入れちゃうなんて。
うさぎちゃんや、レイちゃん、美奈子ちゃんは、話を聞くとどうもみんな体験済みらしい。まこちゃんも積極的な話はしないけど、きっとしてると思う。
そんな話題の時、私は耳まで真っ赤にしながら、聞き耳を立てている。
「おじいちゃんの目を盗むの、大変なのよ~」
「雄一郎、最近マニアックなのよね」
とレイちゃんがため息混じりで言う。
「この間の黒人、すごかったわよ~」
とか、
「5Pで朝まで遊んだの」
これは美奈子ちゃん。
うさぎちゃんとまこちゃんは、あんまりお喋りしたがらないみたい。
私はみんなの話に興味深々なのに、お喋りする話がないから、黙って聞いているだけ。レイちゃんのお部屋で、ノートに何かを書いてるフリをして、耳が大きくダンボになっている。
「亜美ちゃんも何かないの?」
美奈子ちゃんがそんな風に聞いてくるけど、ホントの話、ない。何にもないのだ。
「さ、さぁ、お勉強よ、私達受験生なんだから!」
そう取り繕って、ごまかして、しらけた空気が流れるのも構わず言ってしまう。
「そうよねえ、亜美ちゃんに期待する方がおかしいのよ。さあ、やりますか」
どてらを着たレイちゃんが諦めたように言った。
悔しい。だって、お勉強だって大切だけど、私だって人並みにそういうことに興味がある。
ううん、人並み以上かもしれないのに、私は優等生なんてプレッシャーのイロメガネで見られているのだ。
悔しい。
みんなみたいに勇気を出せたら、って思うけど、やっぱり怖い。
キスくらいなら、憧れちゃうし、いいけどそれ以上進むのは、求められたら……
指が、いつのまにかあそこを少しだけ広げていた。
閉ざされている入口を刺激すると、ぬるって感じが指を包む。そしてトロトロになったしずくがにじみ出して、外にこぼれようとしてきた。
ティッシュを取って、ハンカチと合わせてイスの下に引き、汚れないように注意した。これはお母さんにも洗わせられない。恥ずかしいから自分でしなくっちゃ。
「……う、んっ!ん、ん、ん、は、はっ……」
身体がびくんびくんと震えてしまうほど気持ちいい。足がだらんと垂れて、下着がゆっくりずり落ちていくのにも構わず、指を動かし続けた。
衛さんとうさぎちゃんがキスしてる姿。
うさぎちゃんが、衛さんに服を脱がされていく。うっとりした顔で、うさぎちゃんは衛さんを見つめてる。いつものそそっかしさは全然見当たらない。
フカフカのベッドに二人は重なっていき、身体のあちこちにくちづけされるうさぎちゃんは、ただシーツを握りしめるか、衛さんにしがみつくだけ。
「うさこ、愛してる」
顔をピンク色に染めて、うさぎちゃんたらとってもきれい。
「まもちゃん、あたしも愛してる……」
目の前で聞かされたら、恥ずかしさできっと死んでしまうに違いない会話の応酬が続き、二人の愛の儀式は続いた。
そんな姿を想像しながら、私は指を動かして、身体の奥をまさぐっていった。
「あん、あん、あん……」
小さく声を洩らしながら。指をぐっしょり濡らしながら。
快感に酔いながら。
どんどん、どんどん、どんどん、高まっていく、私の身体。
そして、くちゅくちゅって、湿った音が響いて、あっけなくいっちゃう。いっちゃうの。
「ん~んっ、んっ……あ、あんっ!!」
あ、いっちゃった、そう思う。
イスの背もたれに、思いきり身体を反らして、何秒か私は静止する。
まぶたの裏でちゅどーんって花火が散ったかと思うと、やがてそれは静かに消えていった。
ゆっくり指を引き抜いて眺めてみると、指先がぐっしょり濡れていた。それを見ていると、恥ずかしくなってきた。独り赤面状態のまま、黙ってティッシュでそれを拭う。
「ふー!」
ため息の後、今度はティッシュで股間をさっとひと吹き。ふやけちゃった指にちょっぴり罪悪感を感じながら、広げたままの参考書とにらめっこするのだ。
すっきりしたせいか、勉強がはかどるような気がした。
幾何学は努力ではなかなか解けない。パッとしたひらめきが必要なのだ。
さっきは解けないせいと、身体の中から湧き上がってきたモヤモヤ感(そういう感じでしか表現できないの)のせいで、ついつい自分でいけないことしちゃったけど、今なら解ける。
ひらめいた。ここは、こうだ!
うさぎちゃん、ありがとう、と感謝しつつ、私は、模範回答にも匹敵するような答えを導いていった。
同じひらめきを要するのが、現代国語。
問題の通りに作者が考えたどうかなんて、受験生には知ったことじゃない。要は試験の問いを、試験を作った人と同化して考えていけばいいのだ。
「う~ん」
詰まった。詰まってしまった。
こんな時、美奈子ちゃんならどうするのかな~鉛筆でも転がすのかな~
怪しげなことわざを駆使する美奈子ちゃんには、本当に恐れ入ってしまう。
その時、じゅん、って私の中の何かがうごめいた。
美奈子ちゃん……たくさん、男の人知ってるって本当?
黒人とか5Pとか、私達そんなことするより、お勉強しなくっちゃいけないんだよって言ってあげたい。
でも……私もちょっぴり知りたい。痛くないのかな、とか、そんなに気持ちいいのかなとか。
正直に言って、興味がある。ちょっぴり知りたいって思う。
ヘアブラシを手に取って、その柄の方をパンツの上から押し当ててみた。
さっき、あれだけえっちなことをしたのに、私、またしたくなってる。
「ん!」
声が洩れた。でもパンツの上からだと、物足りないなあ、そんな感じがしちゃう。
しょうこりもなく、パンツを横にずらして、自分でのぞきこんでみた。
合わせた貝の入口が少しだけ開いている。扉の内側から透明なしずくがにじんでいた。
決めた。
ベッドの上にひっくり返って目を閉じてみることにした。
どっちにしろ、こんなモヤモヤした気分だと、勉強なんてマトモにできそうもない。
私はそう理由づけて、自分を慰めることに決めたのだ。
指を乱暴に動かして、あそこを探った。体験がないので、奥まで入れちゃうと怖いの。だから、貝殻の入口とその上にあるぽちっとしたボタンをクリクリ。
「あ、あんっ!んうう、あ、あ!」
とたんに流れ出てくる私のしずく。透明なのに粘りっけがあって、指に絡みつく。
爪じゃなく、柔らかい指のお腹でこする、何回もボタンを探る。
「うう! う、う、あ、あっ、あっ、ああ!!」
私の妄想の中では、美奈子ちゃんはたくさんの男の人に取り囲まれている。みんなあそこをミサイルのように大きくさせて、美奈子ちゃんに群がっているのだ。
美奈子ちゃんはよつんばいになって、両手と口とあそこを男の人達に捧げていた。あんあん哭きながら、ああって、吠えながら。
最初苦しそうな顔で男の人のあそこを頬張っているのに、だんだんとろんってした顔になって、最後は喘いでしまう。それでもあそこを口から離さず、うんうん呻いて舐め回すのだった。
「もっと美奈子を汚して!」
そう叫び、美奈子ちゃんはどんどん汚れていくのだった。白く白く、恍惚感に身体を美しく染めてピンク色になって。
美奈子ちゃん、とってもきれい……
汚して、そう叫んでいるのに、どうしてあんなにきれいな顔しているんだろう?
たくさんの男の人が折り重なっていく。群がっていく。
でもその中で、白い身体の美奈子ちゃんだけが、かすかにお肌をピンク色に染めていて、とってもきれい。
憧れちゃうくらいに、きれい。
両手とお口を男の人に塞がれちゃって、喘いでいる。でも苦しいわけじゃないみたい。
だって、うっとりとしてるんだもん。口からよだれが出ちゃってるんだもん。
「あん! 美奈子、いく、いくう!!」
しばらくしてから大きな声が聞こえて、ジ・エンド。でも終わりじゃない、次の人が美奈子ちゃんとするのを待ってるから。
限りなく美奈子ちゃんの嬉しそうな声が響いた。
男の人といく、ってどんな感じなのかな?
多分、自分でするのと違うんだろうな。
私は指でボタンを刺激し続けながらそんなことを考えた。
すると、いきなりぴくんって痙攣がきちゃった。私の全身に走っていた。
「う、うん、あ、あぁ~!!」
自分でも驚くくらいの声。
足がぴょんと跳ねていた。そして押し寄せた心地いい疲労。
「これが、いく、ってことなのかな?」
呟いて、指を眺めたみた。指先にはたくさんの恥ずかしいしずくがついている。何だか急にえっちな自分が怖くなって、慌てて私はティッシュで拭いた。
気を取り直して、新しく広げた参考書に目をやった。無味乾燥な英単語の羅列を評して、レイちゃんいわく、「巫女のあたしには、関係ないこと」だった。
火野レイちゃんは不思議な娘だ。
セーラー戦士の私達の中でも、普段の日常生活において超感覚を発揮している人だ。天気とか恋占い(自分の運勢は占えないらしい、そういうものらしい)、果ては試験のヤマ賭けに至るものまで、その守備範囲は恐ろしく広い。
そして、そのレイちゃんは、神社に住み込んでいる禰宜見習いの雄一郎さんといい仲らしい。
例によって例のごとく、私の妄想が始まった。
場所はレイちゃんのコタツ部屋。そこで重なり合い、絡み合う二人。
雄一郎さんはレイちゃんを押し倒し、レイちゃんは雄一郎さんにしがみつく。口から洩れるのは喘ぎ声と熱く甘い吐息。
それがだんだん早くなっていくの。
黒く長く艶やかな髪が踊り、広がっていく。揺れるスピードは次第に速くなり、レイちゃんの声が高まっていくばかり。
「ああ、ああっ、いい、そこ、いい」
顔を赤くして、目をとろんと潤ませたレイちゃんが、無精ひげだらけの雄一郎さんにキスをせがむ。
ひとしきり唇を絡ませたまま、二人の動きが停止する。互いを貪って吸い続けた後。またレイちゃんが喘ぎ出していった。
理由は簡単、雄一郎さんがレイちゃんの身体を再び突き上げたからだ。
「あん、ああん、ゆ、雄一郎っ!!」
とうとう大きな声が洩れた。白い裸身が仰け反り、きれいな弧になった。必死になって雄一郎さんにしがみついて、汗飛沫を辺りに撒き散らせていく、黒髪のレイちゃん。
「ゆ、雄一郎!!」
「あっ、あっ、ああ、ああん!」
自分の声で我に返る。何のことはない、妄想の果て、私はまた自分の指を股間に忍ばせていた。
それも今日、三回目、ひょっとしたら四回目かもしれない。でもこれは珍しいことじゃなかった。
最近、ずっとこう。お勉強がはかどらなかったり、飽きちゃったりすると、頭の隅に小さな妄想が鎌首を持ち上げるのだった。追いやろうとしても、お勉強に集中しようとしても、逆にどんどん妄想が広がっていくばかり。
みんなはこんなことないのかな?
お勉強しなくちゃいけないのに、判っているのに全然手につかない。淫らな空想にばかり意識が飛んで、えっちなことをしてしまうダメな私。
どんどんあふれるあそこに指を持っていって、動かしてしまうだけ。
「あん、ダメ、ダメッ!!」
何がダメなのか判らず、それでも指で探り続け私は高まっていくだけ。
そう、すぐに、もうすぐに、ここを押して、中指で押して。ああ、本当にいい。
「くう、ああ、ああっ、くぅ!!」
ああ、またいってしまった、とちょっぴり罪悪感を感じながら、心地いい疲労に私は身を委ねる。
イスに背をもたれかけ、全身を伸ばしてから後始末をした。少し自慰行為をやり過ぎかなと反省する自分がおかしかった。
英語を終わらせ、明日の用意をする。時間割通りに教科書、ノートをカバンに入れて、後は寝るだけ。
照明を消して、ベッドに寝転がって目を閉じる。お勉強で疲れていたせいか、すぐに眠りに落ちて夢を見た。
たわいもない夢を見た。夢では、まこちゃんが誰か顔の判らない男の人と抱き合っていた。
まこちゃんは、
「先輩……」
と言うだけ。顔の見えない先輩は、制服をするっと上手に脱がし、まこちゃんのすらりとした裸身が露わになった。
「あんっ」
先輩が乱暴にまこちゃんを突き飛ばし、地面に座らせる。怒ると思ったけど彼女は抵抗もしなかった。
それどころか、先輩のズボンににじり寄って、あそこを外に出させていく。
何をするの、という疑問はすぐに解消された。まこちゃんはうっとりとした表情で、先輩のあそこに唇を寄せる。
夢にも関わらず、チュッとした音が聞こえた。キスの音だ。
「ん、ん、んっ、んむ」
とうとう口の中にまで含んでいくまこちゃん。苦しそうなのに、楽しそうだし嬉しそう。
先輩はポニーテールを掴んで、乱暴に腰を振っていく。
「ぐ、ぐう、ん」
目尻の端から涙をこぼしている。きっと辛いのに、それでもまこちゃんはやめない、やめなかった。
そんなまこちゃんのやりたい様にやらせていた先輩だったが、
「ああん」
とまこちゃんの口から引き抜いて、彼女をよつんばいにさせた。
恥ずかしいことにお尻を高く上げさせて、それもまこちゃん自身に開かせて、更には、
「早くまことに下さい、お願いです、早く」
などと、奴隷みたいな言葉を言わさせる始末だった。真っ赤な顔をしながら、屈辱に耐えるまこちゃんだったが、その実、心待ちにしていると思った。
先輩のあそこがまこちゃんに入った瞬間、
「あ、あ、あ、ああ!!」
とまこちゃんが叫んだ。それは悲鳴でありながら、歓喜の叫びだった。
夢から覚めた瞬間、指がやっぱり股間にいっていた。しかもあれだけ達したのに、身体はまだ満足できていないようで、ぐっしょりと湿っているのが不愉快であった。
ため息を吐いて、身体を起こした。ベッドサイドの明かりを点け、小物入れの引き出しを開けた。
ガラクタの中から例の物を見つけ、再びベッドに大の字に転がる。例の物のスイッチを入れると、
「ヴィィィ」
と低い音を立てて、ピンク色の本体が唸り出した。
めくり上げて裸になった胸にそれを恐る恐る当てると、
「あん、あん」
思わず声が洩れた。
小さいのが悩みの種でもある乳房は敏感で、先っぽはたちまち固くなっていく。片方で機械を当てて、もう片方を自分で揉む。
「あん、ん、ああ」
また声が出ちゃう、いい気持ち。
この機械は、家の掃除をしている時にお母さんの部屋から見つけた
もの。お母さんはたくさんのコレクションを持っていて、その中で一番小さいのを思わず失敬してしまったのだ。
他のコレクションは大きくて、しかも獰猛な形をしてて、「使う」のが恐いくらいだった。
最初「使う」のが恐かったけれど、いざやってみれば大したことはなかった。案じるより産むが易し、とはこのことだと思った。
胸や腰や、あそこに当ててみれば気持ちいいことが判ったし、何よりモヤモヤ感が解消されていくのが、最高だった。
犬や猫のように扱われるまこちゃんを想像する。
普段は気が強くて、敵にも真っ向から向かっていくまこちゃん。
長身がかっこよくて、勇敢なまこちゃん。
みんなに優しくて、お料理上手なまこちゃん。
先輩をずっと引きずっているくせに、ステキな男性が現れると、目移りしちゃうまこちゃん。
そのまこちゃんがよつんばいになって、痴態を見せている。後ろから突かれて、あんあん声を出してとっても気持ちよさそうに、泣いている。
それが羨ましいと思った。
その姿が美しいと思った。
まこちゃん、きれいだと思った。
低く鳴り続ける機械を、とうとう身体の中心に当てる。途端に全身が痺れた。さっきさんざんいってしまったのに、またいきそうになる。
太腿で機械をぎゅっと締めつけて、更に気持ちよくなりたくなる、ああ、気持ちいい、本当にいい。
視界が歪んで、次に見えた光景は凄かった。
まずは、うさぎちゃんが衛さんと絡んでいる。その横では、黒い人達の山の中でわずかに見える美奈子ちゃんの恍惚の顔。山の向こうではレイちゃんと雄一郎さんが抱き合っているし、お隣では辱めにあっているまこちゃんが泣き続けていた。
私は独り、人間ではなく指と機械だけを相手に、みんなを覗きながら、自分を慰めている。
みんなを羨ましいと思いながら。
はしたない自分を軽蔑しながら。
最低の感情の中で、気持ちよくなりながら。
そうして、お母さんのコレクションの中の大きくて怖そうな機械を次に使うことを考えながら。
「ああ、いくう、いくう、ああ!!」
私は叫んだ。身体をこうして疲れさせておけば、今晩もグッスリ眠れるはずである。
(了)
亭主後述・・・
実写版セーラームーン放映記念です。(笑)
亜美ちゃんはなかなかいい味出してますね。いけてない、真面目、ちょっと暗い。(汗)
内側に篭もりそうな、だからこそこの性癖を妄想してみました。
亜美ちゃんは自慰マニアか!(爆)
久々の更新で、アップの仕方も忘れてしまいそうでした。
あ、タイトルはお騒がせのラシアンポップデュオから。