Da Ya Think I'm Sexy? ~新世紀エヴァンゲリオン~

 熱いシャワーを浴びると、お肌が生き返ったような錯覚に陥った。

 鏡に映るボディラインは大丈夫、十分魅力的だ。これなら男はみんな、私にイチコロだろう。

 そう思ってたらおかしくなって、しばらく鏡の前で笑ってしまった。

 笑顔で目尻の皺、乳房の形を確かめて、(ただ視線は自然と胸の傷をスルーするのだった)腰と足のラインを鏡でもう一度。

 恐ろしいのは、使徒なんかではなく、「年齢」という敵だった。ちょっと前の私なら平気だったこの相手も、今では年月の経過と共に手強くなる一方だ。

 ううん、とかぶりを切って、バスタオルで水を拭った。お肌の張りを気にしながら、身体を拭く手はどこかぎこちないような気がした。

 

 タオルを巻いたまま外に出た。気になるペンペンはとっくにお休み中だったが、注意するに越したことはないので、足音を忍ばせた。

 激しく脈を打つ私の鼓動だけが大きい。だがこれもいつものことだ。

 やがてシンちゃんの部屋の前に立って、

「シンちゃん、私よ」

 と呼び掛けたものの、返事はなかった。

 鼓動が大きく、沈黙の空間に鳴り響く。拭い切れなかった水が床に落ちていくのが判る程、神経が鋭敏になっていく。

「入るわよ」

 それでも返事はなく、意を決した私は襖を開けて、シンちゃんの部屋に入った。

 

 空気を吸う。少年の匂い、まだ大人じゃない、でもなりつつある成長期の少年が醸し出す男の匂いみたいなものが、私をだんだん酔わせる。

 闇に慣れた目が、ベッドの上で眠る少年の姿を捉えた。穏やかな寝息で夢見る碇シンジの姿はどこか可愛らしい。

 サードチルドレンとして使徒と戦うエヴァのパイロットである。弱冠十四歳にして、可哀想に地球の運命を担う羽目になってしまった男の子だ。

 しばらく立ち尽くしたままだったが、憐憫の情と身体の中の欲求が私を駆り立てた。と言うより、欲望に勝てなかったのだ。

 横たわるシンちゃんの足元に駆け寄り、息も荒く毛布を剥ぎ取った。そしてブリーフの中に手をやって、むんずとペニスを掴んでみたけれど、彼は、碇シンジは穏やかな寝息を乱さなかった。

 夢見ることもなく、深い眠りに入っているのかもしれない。それだけに気の毒でもあり、逆に征服感が私の中に満ちた。

 まずしゃがんで、鼻を萎れたペニスに近づけ、湯上りの少年の匂いとかすかに漂う男の匂いを嗅ぐ。と同時に私の身体の奥底がじゅんとなった。

 

 不思議だ。

 私は欲情している、のだ。

 遥か年下の碇シンジに、だ。

 

 手をゆっくり動かしていくとペニスはすぐに固くなり、私の指の中ではちきれんばかりに発達していく。とくん、とくんと血の流れを感じさせるくらいになる。

 黙ってペニスの成長と少年の寝顔を交互に見つめる。少し唸ってはみたが、シンちゃんは相変わらず起きようとはしなかった。

 疲れてるのかも、という慙愧の念。みっともない、という後悔の念。(これは自分自身へ、だ)それらが頭をよぎったが、一向に変わらないのが、私の中で激しく膨れ上がって、鈍く疼く性欲の塊だった。

 ペニスにくちづけをする。舌を伸ばす。

「う、うう」

 シンちゃんが唸った。えっちな夢でも見ているのかもしらんと思ったが、構わず口に含む。

「ん、ん、ん、んむう」

「あ、ああ」

 身をよじる少年。

 たちまち口の中が、シンちゃんの味でいっぱいになる。

 私は若いエキスを吸い取るインキュバスそのもの。ペニスを頬張って、それに舌を這わせて、すべてを味わい、シンちゃんを口で犯す淫らな夢魔になった。

「あ、あん、ん、んっ、ん、んく、んっ!!」

 恐ろしく派手な音をさせて吸った。シンちゃんが起きるかどうかなんて、そんなことはもうどうでもよかった。ただひたすらに、懸命にエキスを、シンちゃんの精液を欲しいが故の行為なのだった。

 頬をへこませて吸い、首を振り、時々ペニスに絡めて舌でなぞって、強弱をつける。空いた手で睾丸を揉むと、反応がますます大きくなるばかり。

「んっ、んっ、あ、あん」

 無意識のうちに指が自分自身の股間を弄っていた。いつしかバスタオルもはだいて全裸になった私の股間は、すでにぐっしょりと潤い、湿り、シャワーの名残りではない液体を滴らせている。

 シンちゃんを犯しながら、自分を慰める。それはセックスの前戯でもあった。自分の指を彼のものと仮定して膣とクリトリスに触れる。

「あん、ああん、っく、くうっ!」

「う、うう」

 二人の悲鳴と哭き声が交互に響く。そして私の口の中のシンちゃんが、一層膨らんでいく。

 くるのだ、シンちゃんがいくのだ、と思った。彼の身体がもそもそ動いた瞬間、膨らんだペニスから勢いよく精が放たれた。

「あん、ああん、ああん」

 射精が私の口蓋を打つ間、私も達した。強い力で蜜でいっぱいの中を掻き回し、エクスタシーを感じながら、シンちゃんを受けるのだった。

「ああ、シンちゃん……」

 だが長く射精は続き、そしてたっぷりと精が出ていく。私は夢中になってペニスを吸い続け、己をさすった。

 脳内を走る絶頂感はまるで明滅する明かりの様。

 ヒクヒクと身体が弛緩し、精液が口から少し洩れた。もったいないと手を添えて、こぼれた精をすくい、それでも唇を離さないでいると、ペニスから再び大量の欲望が射出されていく。

「!!」

 シンちゃんは衰えを知らないのだ。限界を知らないのだ。私は一滴もこぼさないつもりで、夢中になってペニスをちゅうちゅうと吸った。

 ごく、と咽喉を鳴らして、精液が食道を伝わって落ちていった。噛み切れないほどに濃く、たっぷりとした量のエキスを心ゆくまで私は味わった。

 

 若いシンちゃんの精液。

 遥か昔のオリンポスの神々の不老不死の飲み物であるかのよう。

 容赦なく女から若さを奪っていく年月と戦う私にとって、青臭くてマズイのに、でも美味。

 

「ああ、シンちゃん……」

 声を枯らせて私は喘ぎ、またペニスをしゃぶった。最後の一滴まで残すまい、と思った。

 そのうち、くちづけを繰り返している間に、またもやペニスが膨らみ、固さを取り戻していくことに気づいた。何のことはない、若いシンちゃんはまた勃起したのだ。

 私は、自分の内腿が濡れていることの理由を考えてみた。さっきの自慰行為のせいだけではない、シンちゃんを唇で含み、吸い、犯すことによって、欲望が燃え盛ったのだ。

 

 私はシンちゃんが欲しい、欲しいの、欲しいのだ。

 しかも、この身体の奥底深くに、入れて欲しくて欲しくて、身体を埋めて欲しくて仕方ないのだ。

 

 迷いなどない。後悔なんて私らしくない。恥じらいなど、もはやない。

 ただ淫魔に憑依されたように、私がすることはただ一つ、いまだ眠り続けるシンちゃんの身体を跨ぐだけだった。愛撫など、欲しくない。だって私はすっかり充分に濡れていたから、である。

 天を突くペニスに手を添えて、腰を落とすだけでいい、のだ。

「あ、ん、ん、あっ!」

 心の中にかすかに残っていた理性が叫びを上げるように、喘ぐ。挿入する時、少しだけ痛みを伴ったのである。

 私の中の人間の部分が、醒めた理性が残っているのだ。しかし、首を振ってそれを追い出そうと努めた。腰を振って快感を求めていけば、そんなものは消えていくと思った。

 すぐに快感が身体に走る。波が広がるようにあっけなく私は狂い出す。

 自分で胸を揉んだせい。自分で感じるところを責められるせい。私は、動かないシンちゃんを嬲る、淫乱な女なのだ。

「ああっ、ああっ、あん、やんっ!!」

 すぐに絶頂がきた。自分でコントロールできる快楽ゆえである。快感を貪ることによって、更に次なる快感を追い求め、そして乱れることができた。

「あ、ま、またっ、いくう、いくうっ!!」

 達してしまった。息を整えるためにしばらく休んでいたが、ふと気づくと、私は下からいつのまにか突き上げられていた。

 薄目を開けて下のシンちゃんを見ると、彼は必死の形相になっていた。

「ふふ、お、起きてたの?」

「……だ、だってあんなにされたら、あんなことされたらぁ、あ、あぁ、お、起きちゃいますよっ!」

「そ、そうね、そうよね、あ、あん」

 乳房を痛い程に摘まれて、喘いでしまったのだ。

「ふふ、えっちなシンちゃんなのね」

「ミ、ミサトさぁん」

 情けない声が下から聞こえた。

「どうしたの?」

「僕、僕、また出ちゃいそうなんです!」

 真剣な声で悲鳴を上げた。

「いいのよ、いって。私もさっきいったから」

「あ、う、動かないで、動かないでったら!」

「判ったわ。チョッチ待ってね」

「え?」

「いいことしてあげるから」

 シンちゃんを跨ぐのをやめて、私は彼の下半身に移動した。そして彼の逸るペニスを、私と彼の体液でベトベトになったペニスを自慢の乳房で挟むのだった。

「ほれほれ、どう? シンちゃ~ん? 感じる?」

「わ、わ、わ、あ、ああ~!!」

 可愛い悲鳴に私はにんまりと笑う。

「柔らかいでしょ? 大きいでしょ?」

「は、はい!!」

 か細い悲鳴に私は満足するものの、意地悪くなった私はこう尋ねた。

「レイよりいいでしょう?」

「はい……あ!?」

 うろたえたシンちゃんが憎らしくて、でも可愛いと思った。

「ふふ、知らないとでも思った? これでもNERVの作戦部長なのよ」

 そう、彼、碇シンジは、ファーストチルドレンたる綾波レイといつしか「デキ」ていた。それはヤシマ作戦の後くらいからだろうか。

 どうした「デキ」たのか、そこまで詳しく報告書には記されていたが、私は読むのをパスした。

 はっきり言ってどうでもいいからだ。社会に対して向き合えない(向き合おうとしないからだが)自閉症気味の少年が、同世代の薄気味悪い赤い瞳の少女とどうなろうと、エヴァの操縦にさえ問題なければ構わないことだった。

「え、ええ、で、でも」

「でも、何かしら?」

 乳房を揺さぶると、シンちゃんは苦悶の表情になった。

「どう? 感じる? 私ってセクシー?」

 畳み掛けて聞くと返事はなく、シンちゃんはただ首を振った。

 両の乳房でペニスを挟むと、私の胸は自分でも思いがけないほど、柔らかく変形した。形状記憶合金だわ、と思うとおかしくなった。

 どんなに柔らかくても、乳房の中に何か固い芯のようなものがあり、それがペニスを捉えて離さなかった。二人の体液がグリースになってすべりはよくなってはいたが、シンちゃんを離さないのだ。

 

 私も熱くなる。

 胸の性感が身体を駆けめぐり、熱く、熱く、ああ、すごく感じる。シンちゃんの情けない顔が、私を加速させる、ああ。

 

「ミ、ミサトさん、ああ、も、もう!!」

「あん、やんっ、いいのよ、いいの、いっていいのよぉ!!」

「はい、いきま、す!」

 律儀に返事をして、少年は遠慮なく射精した。熱く、白いドロドロの精液が私の乳房の間に放たれた。胸の谷間から噴出したエキスは、勢いの余り、胸だけでなく私の顔にまで降り掛かり、汚した。

「あ、ああ!!」

「あっ、あん、あん」

 乳房の愛撫を続けたせいか、ペニスからの噴射はずっと続き、伸ばした舌はおろか、頬や鼻まで私は汚された。

 

 いいの、と思った。

 これは自分で望んだことなのだ。シンちゃんを犯して、自分は汚れて、汚されて。

 

 こんなに堕ちちゃったよ、私。

 こんなに乱れちゃったよ、加治君。

 年下の男の子に、いっぱいえっちなこと教えて、汚れちゃったよ……

 

「うう」

 荒い息遣いのシンちゃんが呻いた。

 そのまま放心状態の私は、白く染められたままの私は、いきなりシンちゃんに組み敷かれた。彼のなすがままにさせていると、よつんばいにされた。

「あん、シンちゃんたら、絶倫なんだから……」

 突然、頭が真っ白になった。言葉通り、絶倫の少年は私を貫いたのだ。

 少し前と違って、場所さえ間違わなかった。私の手助けなしに見事に挿入したのだ。

「あっ、あっ、ああ!!」

「……」

 無言で、しかし怖い息遣いをしたシンちゃんは突いてくる。

「も、もっと突いて、突いて、ね、激しくして、ねぇ、お願いよぉ!!」

 立場はあっけなく逆転していた。

 

 性器を突かれて、ただ喘ぐだけの女。

 哭き叫ぶだけの女。

 

 私は愚かな女だ。

 

 シンちゃんは予告なく私の身体の奥へ精を放ち、その後バスルームで私を抱いた。

 その度、ただ私は哭いた。哭くことしかできず、狂ったように喘いだ。

 

「ミサトさん、やっぱりすごくセクシーです」

 シンちゃんはそう耳元で囁いて、私を嬲り続けるのだった。

 

(了)

 

亭主後述・・・

 

新世紀エヴァンゲリオン2発売記念なのでありますよ。

とは申しましても、「人形の家」の続編的展開です。よろしければ併せてお読み下さいませ。

シンジがモテモテ、しかし綾波を裏切るという、男性諸氏からすれば夢のような展開。

これも一つのカタチなのであります。(笑)

あ、胸の傷をもっと使えばよかったです。とにかく、やっぱり年上のお姉様と少年っていいですよね、私的には萌える展開です、やっぱり。

 

往年の大ヒット曲よりタイトルを頂きました。