将軍の憂鬱 ~機動戦士ガンダム~

 

 作戦前の緊張は、いつも心地よいものがある。まして今は、乾坤一擲の大作戦の前であった。私は年甲斐もなく緊張に震えていた。
 しかしこんな時こそ、刺激が欲しくなるから、我ながら困ったものだというしかない。
 そんな折、インターカムが鳴り、副官が待ちかねていた客の到着を告げた。
「む、判った。私がいいと言うまで、誰も通すな。参謀本部からの至急電であってもな」
 デスクを立って、ウインドウの向こう一杯に広がる夕日を見つめる。
 赤、真っ赤な血の色だ。神は、後どれくらい犠牲を欲しているのか、望んでいるのか。
 荒涼とした大地。かつては、偉大なローマ文明を建設したこの大地。
 今はもう、人の住む気配すらない。たとえいたとしても、それは逃げ遅れた避難民か、本隊からはぐれた兵隊か、脱走兵にしか過ぎない。どちらにしろ、野垂れ死にの運命だけが待つことだろう。
 かのジュリアス・シーザーは言った。
『賽は投げられた!』
 そしてルビコン川を渡って敵を倒し、ローマの第一執政官になったのだ。
 私も彼と同じようにルビコンを渡って、勝たねばならない。そのためには、使えるものならどんどん使わねばならないのだ。
 どんな犠牲を払ってまでも。それが素人同然の部隊であったとしても。
 もっとも、シーザーのような死に方だけは見習いたくないものだが。

 私の夢想を打ち払うように、ドアがノックされた。
「閣下、ただいま帰還致しました!」
 麗しい賓客のキビキビした声が、軽やかに響いた。
「ご苦労」
 敬礼を返すと、賓客はデスクの前まで進み、補給の状況と任務完了について報告し始めた。
 夕日から振り返り、緊張した面持ちで報告文書を読み上げる彼女の姿を眺めてみる。
 スラリとした長身。少々痩せ気味だが、制服の下には豊かな女体があるのが判る。胸を張って読み上げているので、前に突き出した制服の隆起からもそれは明らかだ。
 制帽に隠れた、短くも燃えるような赤毛。それは彼女の火のような情熱を示している。
 デスクを回り込んで、依然として報告し続ける彼女の後ろに立った。
 キュッと高く引き締まった尻、思わず手が伸びそうになる。
 後しばらくしたら、ジャブローの技術将校の何とかという士官と結婚するそうだが、もったいない、貴重な損失だ。
 ま、戦争後、特命で退役させなければいいのだ、そのくらいの人事権は私にだってある。
 ふと気づくと、彼女は私を見ていた。その少しだけ脅えが混じり、何かの期待に輝く目が美しい、と思った。
「報告を続けろ」
「いえ、もう終わりました」
「ふむ、そうか……例の部隊の連中の様子はどうだった?」
「高い士気を保ってはおりますが、何分、戦闘の連続で疲弊しているようです」
「うむ」
「しかし彼等は、すでにガルマ・ザビ部隊を壊滅させています、高い戦果を……ああっ……」
「どうした?……君の意見を拝聴したいのだが?」
「あっ……あ、あ、か、閣下!あん!」
 胸元を強く掴まれているにも関わらず、彼女の声にはどことなく媚びが感じられた。引き寄せると抵抗もなく、簡単に私の肩にもたれてきた。
「どうれ、久方ぶりの再会を確かめてみるか」
 唇を近づけると、彼女の方から重ねてきた。制帽が私の額に当たり、床に落ちていく。
 舌が差し込まれ、私は唾液をたっぷりと含んだ自分のそれを絡めた。うくうく、と彼女は苦悶にも似た声を出した。
「あん、葉巻の匂いがとっても……」
 そう言って、また彼女は私の唇を求めていく。夢うつつの表情がひどく色っぽい。いつもの冷静な彼女と違って、生の姿をむき出した女の顔を浮かべている。
 口を彼女に任せて、私はたっぷりとした胸を揉んだ。その見事なまでの質感を触ると、キスに夢中の彼女が吐息を洩らし出した。
「あん……あん……か、閣下……」
 胸のジッパーを下ろしてやり、白い肌を露出させた。
 ヨーロッパはもう寒く、暗鬱な季節に入っているというのに、この薄着では辛かろう。
 胸元を隠した下着の中に手を差し込み、先端の赤い蕾を摘むと、彼女がまたいい声で哭いた。こりこり、もう尖っている。
「ふむ、寒くても平気か?」
 豊かな谷間に口を寄せ、舌でなぞる。柔らかく、くにゃっとした身体からまた力が抜けた。
「ひ、髭が……ジョリジョリしてます……あっ!」
「では、次までに髭を剃っておくことにしよう。」
 そう言って絹のような肌にくちづけた。ああんと彼女は甲高い声を洩らし、
「ああ、閣下、剃らないで下さい!あ……あ……ああん……」
「ジョリジョリするのではなかったかね?」
「い、意地悪な閣下……」
 彼女の手が私の膨らんだペニスをズボンの上から撫で回す。
「あん、閣下のが大きく……」
 まだ我が息子は持ち主と同様、現役である。
 彼女はそれを確かめるように握り、目を潤ませていた。
 そろそろ奉仕させるとしよう、私はそう呟いて身体をすり寄せる彼女をひざまづかせた。
 だらしなく制服の前を開けていた彼女が、上着を脱いでいく。中尉の襟章がカランと音を立てた。上半身だけあらわにした姿で彼女は、いそいそと私のベルトを外しにかかるのだった。
 露出したペニスがぐいんと持ち上がり、彼女の顔に触れんばかりになった。
「ステキ……」
 舌でぺろっと口の周りを舐めたかと、いきなり彼女は花のような唇の奥までペニスを咥え込んだ。苦しそうな顔をする癖に、更に奥まで飲み込もうとしていた。
「どうかね、フィアンセの何とか大尉と比べてみて、え?」
「ん、ん、んぐ……閣下の方がおいしいに決まってます……ん、ん、ん……」
「あ~フィアンセは、何という名前だったかね?」
「う、う、う、う、うぐっ……ウッヒィでふ……」
 ペニスを頬張ったまま、彼女が答えた。強烈な吸込みを続けているため、発音が明瞭ではない。
 次第に彼女の美しい瞳が潤んできた。それはこの後、今舐めているペニスを熟しきった身体に入れてもらえるという期待によるものであろう。
 だが時間はまだたっぷりとある。
 豊潤な蜜を潤沢に蓄えた、美しい花芯の味を確かめてもいいだろう。その濃密な味わいを舌ですくい取ってもよいだろう。
 蜜の味は、ヴィンテージものの葡萄酒に匹敵するのではないだろうか。
 温かい粘膜がペニスを包み、手を添えた彼女が愛撫を続けている。
「確か、ウッディ・マルデン大尉だったか?」
 イヤイヤ、彼女は私を見つめながらかぶりを切った。どうやら、あまりフィアンセの話題には触れたくないようだ。
 顔も定かに覚えていない、寝取られ男のことを想像して、私はこの上もない背徳感と征服感に襲われた。
 部下で、しかもフィアンセのいる女を抱く。これがまたいい女ときている。フィアンセは今頃、ジャブローで機械相手に整備に追われているだろう。
 その花嫁になる予定の補給部隊の女性将校は、陸戦艇ビッグ・トレーの中で、口唇による奉仕活動の真っ最中であった。
 古のアレクサンダー大王も、フリードリッヒ大王も、ナポレオンも、アイゼンハウアーも、作戦行動中に天蓋の中でこのようなことをしただろうか?戦史にも載っている訳はないし、士官学校でも教官は誰も教えてくれなかったことを思い出し、胸の内で哄笑する。
 ジンギスカンだけはしたかもしれない、そう思う。
 彼女の肉厚な舌が、小さい口から現れてはペニスを舐め取り、また口の中へ消えていく。いよいよペニスは固くなり、小さな口を突き破らんばかりになっていた。
 赤い髪を掴み、喉の奥へ深く押し込んだ。途端に鳶色の瞳は潤み、苦しそうな声を上げた。
「ぐう!う、う、う、うくっ!!」
 だが彼女は抵抗しない。それどころか、いよいよ必死になって唇をすぼめて、ペニスを絞ろうとしていくのだ。
 射精感が込み上げ、私は一瞬逡巡した挙句、彼女の口から引き抜いた。
「はぁ、はぁ、はぁ……か、閣下……」
 指を口にやり、燃えるような赤毛の中尉は、物足りなさそうな顔をした。
「服を全部脱ぎなさい。そしてデスクに手をつくのだ。」
「はい」
 一糸もまとわず、生まれたての姿になり、
「閣下……」
 と尻を高く上げる。
 色素が薄く沈着して、すみれ色になった花芯が、もうすでに白っぽいしずくを湛えていた。
 それを指で撫でてから、可愛い声が聞こえてくるのに気をよくして、舐めてみた。
 やはり上質の白葡萄酒のように甘苦い。尻に向って顔を押しつけてみた。
「ああ……ああ……」
 かすれた声を振り絞り、彼女が喘いだ。デスクの向こうの、今、正に沈まんとする毒々しい色の太陽が、女体を赤く染めた。
 髭が愛液に濡れる。舌が花芯の奥に分け入り、しずくが更にあふれ出した。
「いい味だ、中尉、極上の白葡萄酒だ」
 自己主張をしていた突起に舌をぶつける。尻がびくんと震え、彼女はわなないた。
「髭がぁ……髭があ……」
 鼻まで突っ込んでみた。尻を振り、彼女は、より強い愛撫を求めてきた。
 花芯から、強い発情しきった女の匂いがしている。もういいだろう、充分に味わい頃だろうと私は見当をつけた。
 顔を離し、垂直近くまで勃起したペニスをしごきつつ、尻肉を広げた。
「ああん……」
 開いた花芯からポタリと愛液が床に落ちていった。
 ズッ、ズブズブとペニスの先端が花芯に消えていく。同時に彼女は、尻をはしたなくも押しつけてくるのだった。
「あう! あ、ああん!!」
 細い腰を持ち、更に貫いた。根元まで押し込み、引き抜く。浅く強く、浅く強く。
 白い尻が甘い水蜜桃のように見える。肌がじっとりと汗ばみ、徐々に赤く染まっていくのは、夕日のせいではないはずだった。
「か、閣下!! あん、閣下!!」
 繰り返す呟きにも何ら意味はない。彼女は官能の昂ぶりのまま、私を呼んでいるだけだ。
 すみれ色の花芯はふるふると震えて、白濁した愛液を吐き出している。床に溜まっていく量が次第に増えていくのだった。
「ものすごい量の分泌だな」
 床を見ながら言うと、
「あん……あ……は、恥ずかしいです……」
 頬をピンク色に上気させて、彼女は恨めしそうな目でこちらを向く。もちろん辱めるためにそんな言葉を言ったのだが、ペニスの突きを奥まで食らわせると、目が閉じられて甘い嬌声が洩れた。
「ああん、ああ、あ、あ、あ、いっちゃう、いっちゃいますっ!!」
 背中を反らせて彼女が訴えた。花芯がきゅっきゅっと私を包み、粘膜の蠕動が強くなった。
 先程、口唇によって高められていた射精感が、またもや込み上げた。もはや我慢ができずに、私は彼女の花芯を深く突いた。
「あ、いくうっ!!」
 弓なりのまま、彼女が先に達した。
 つま先から立ち上った激情が、ペニスに集約された。私にも限界が訪れ、今度は惑うなく花芯の中へ射精した。
 彼女は射精を受けて、ああ、と痙攣するのだった。その弱々しい扇情的な声が、射精を長く持続させた。

 身体を引き離すと、花芯から白く濁った精液と愛液が逆流した。私はそれを見て、ふと満足感を覚えた。
「すごかったです……閣下……」
 自分の股間に手をやり、あふれる体液の残滓を眺めて彼女は言った。
「満足したかね、そうなら嬉しいが」
「閣下……」
 力強さを保ったままのペニスをしげしげと見つめている。
「ふむ、まだしたいというわけか。よかろう、久々だし、作戦行動に入ったら、今後はしばらくお預けになるからな」
 彼女は妖艶に微笑み、また私のペニスを握ろうとした。
「少し汗をかいてしまったな、君も入浴につきあいたまえ」
「は、はいっ! お供致します」

 私専用のビッグ・トレーには、他の野戦司令官用と違って、バスルームが用意してある。普段は当番兵にやらせるわけだが、今はそういう訳にはいかない。自分で蛇口を捻らなくてはならないのだ。
 だが私が用意をする前に、バスタオルで身体を巻いた彼女がやってくれた。
 何でもこのバスルームの話を聞きつけて、連邦政府の高官やジャブローに篭りっきりの参謀達が異議を唱えたということだ。
 高度な頭脳運動を必要とする前線指揮官に、入浴の権利が与えられているのが贅沢過ぎるというのだ。馬鹿げた話である。
 連中は、何も判っていないモグラだ。
 リラックスもせず、休息も取らない指揮官に何ができるというのか。恐らくは、私を妬むゴップやティアンム、ワイアット辺りが言い触らしてるのかもしれない。
「下らん話だ」
「閣下? どうなさいました?」
 湯加減を見ていた彼女がこちらを振り返った。
「何でもない。おや、それは何かね?」
 彼女が手にしたビンから、ピンクの粒子状のものが浴槽内に落ちていた。やがてそれは熱い湯と混ざり合い、水面をピンク色に変えていった。同時にバスルーム内にいい匂いが満ち始めた。
「PXで手に入れたアロマテラピーです。ハーブの香りがストレスにいいそうで、閣下のために用意致しました」 
「そうか、わざわざ買ってきてくれたのか、すまんな」
「いえ、さぁ、沸きましたよ」
 彼女は私を浴槽へ押し込むと背中に回り、タオルで皮膚をこすり始めた。力を入れると、皮膚が痛いくらいに赤くなる。それでも懸命さが窺えて、私は黙ってなすがままにさせておいた。
 目をつむり、私の思いは明日の戦場のことに移っていった。
 何万もの将兵の命と地球連邦の命運が、私の肩に懸かっているのだ。それはある種、喜びでもあり恐怖でもあった。
 敵は、将軍ですらないただの佐官だ。もっとも敵軍は、血縁主義に近い独特の軍事独裁政権であった。佐官といえども、敵軍においては優秀な軍人に違いないのだ。
 根拠地であるオデッサを叩けば、他の地上の戦力は無力化する。後は宇宙戦だけに持ち込めるだろう。そうなれば人的資源にも鉱物資源にも恵まれない奴らは、ジリ貧になるのだ。
 かつて捕虜になった時、(それは私にとって生涯最大の屈辱だ)疲弊している敵軍を見た。戦争遂行がしんどいのは、自軍だけではなく敵も同じである。
「展開が遅いか……しんどいな……」
 自分の呟きで目が覚めた。背後から、柔らかい女体が私を支えているのに気づいた。
「おお、中尉、失敬した」
「よくお休みでした」
「私は寝てしまったのか?」
 振り返ると、彼女は優しく微笑んだ。
「ほんの五分ばかりですわ。気が張ってお疲れだったのでしょう」
 しばらく彼女にもたれて、豊かな胸の隆起が私の背中に当たる感触を楽しんだ。
「こんな老人の相手はつまらんだろう?」
「いえ、決してそんなことはありません!」
 慌てて否定する中尉がおかしかった。
「どうしてそんなことをおっしゃるんです?」
 私はそれに答えずに彼女を引き寄せ、尚も私を問い詰めようとするその唇を塞いだ。
 うう、呻き声とともに両手が押し返そうとするが、力が抜けたかと思うと、逆に私の首に回っていた。唇を重ねたままで、乳房を弄った。
「ん、んうう、う、う……」
 吐息が洩れたものの、彼女は一層強く私を求めてきた。送り込んだ舌で、彼女の口の中をたっぷりと犯してやった。絡み合う舌につく唾液が、濃くなったような気がする。
 頭に巻いていたバスタオルが解けたので、浴槽の外へ投げ捨てた。
「か、閣下……のぼせてしまいます……」
 小さい声で彼女が訴える。
 立ち上がって、浴槽の縁に手をつかせる。このまま挿入してもよいのだが、それだけでは、何かこう盛り上がりに欠けてしまう。
 指を使って花芯の周囲を探ってみた。
「あ……ん……」
 すみれ色だった花芯は、湯にのぼせて赤くなっている。実にうまそうである。
 だが、敢えて私は指で刺激し続けた。そのうちに指が、水とは明らかに異なる液体に溺れて沈んだ。言わずとしれた彼女の愛液である。
「ほう……中尉、こんなになっておる。」
「あん、だって、だって……すごく、いいんですもの……ん、んっ、あん、か、閣下っ!!」
 丸い尻が円を描いてかすかに揺れた。彼女の要求に応じてやらずに、私は押し込んだ指先で花芯の内側を確かめた。
「あっ! あっ!!」
 このざらついた質感がたまらない。
 ここにペニスを入れて、ゆっくり抽送してやって、その絡みつく花芯を味わってやろう。
 だが、まだだ。まだまだ。
 狭い窮屈な中で中指を内側に折り曲げると、妖精のような蠢きが感じられ、指にまとわりついていく。次第に彼女の声と呼吸が荒くなっていき、花芯のぬめりがいっそう強さを増した。
「あ、あ、い、いきます、いきそうです! あ、ああん!!」
「どうれ、ここか? ここがいいのかね、ん?!」
 内壁の尻に近い側を集中的に責めると、縁についた手が滑りそうになった。彼女は私の腕で自分を支えながら、何とか倒れずにすんだわけだ。
 そこまでして昂ぶりを求めたいのか、今更ながら女性の業の深さを見たような気がする。
「はい、あ、そ、そこが、あ、とってもいいんですっ! ああ、閣下、そこ、そこですっ!!」
 尻がゆらりゆらり妖しく揺れて、私を誘っていた。辛抱たまらん新兵なら、これを見ているだけで果ててしまいそうだ。
 だが私はそうではない。歴戦のベテランなのだ。まだまだ屈するわけにはいかない。
「だ……だめです!! いっちゃいます、ああん、だめっ、あ、も、もう!!」
 すみれ色の入口からにじみ出た愛液が粘度を増し、私の指を奥へと導いた。一挙に締めつけがきつくなり、指の動きを封じるようだった。
 同時に彼女は絶叫していた。
「あ、あ、あ、ああ、い、いくう、いくう!!」
 けたたましい程の歓喜の声を振り絞って、彼女は達した。引いた弓のように身体がしなり、二三回痙攣してから、崩れた。
「おっと、危ない、危ない」
 半失神状態の彼女は、危うくバスタブで頭を打つところだった。私は左手一本で支えてやり、愛液でベトベトになった右手も使って、浴槽から出してやった。

 バスルームの隣は、マッサージを受けてもいいような設計になっている。冷蔵庫も置いてあり、夏などには、ここで夕涼みに一杯交わせるのだ。
 モネやスザンヌの複製画でも飾ればもっとよくなるのに、といつも思わせられる場所なのだ。まあ、そこまではお堅い軍人もさすがに気が効くまい。
 私は彼女をそっと、マッサージチェアーに横たえ、ミネラルウォーターを冷蔵庫から持ってくると、グラスで彼女の唇を湿してやった。うう、とかすかに呻く。だめだ、こんなものではらちがあかない。
 バスルームの濛々たる熱気と快楽の狭間で、熱射病の一歩手前になっているようだ。
 決断して、私はグラスの水を口に含んで、彼女の唇に重ねた。口をこじ開け、大量の水を流し込むと、目をようやく見開いた彼女が私に抱きついてきた。
「あん……閣下……」
「どうかね、身体の具合は?」
 私の問いに頬をバラ色に染めていた彼女は、恥じらいの笑みを浮かべた。
「さ、最高でした……もう死ぬかと思っちゃうくらいでした」
 手が伸びて、私のペニスに触れた。少々、驚いた顔をしてから、
「閣下は、まだなんですね?」
「むう、中尉の派手なイキっぷりを見てただけだからな」
「ひどい! 小官のせいになされるおつもりですか!」
 顔を起こして、唇が触れた。ひどく情熱的なくちづけの後、彼女は、
「さあ、閣下、いらして……」
 と言った。
 もう熱射病はいいのか、と言うと、答えはなく、私を切なく見つめるだけの彼女は、腰を振った。
 マッサージチェアーの上に乗り、さらけ出したままの充血した花芯に、ペニスの先端に当てた。くうんと目をつむり、すぐに開くと、彼女は熱心に挿入される瞬間を見ていた。
 じらすかのように、突起だけをペニスでこする。 
「あん……あん……」
 いい声がする。持ち上げた白い首筋と火のような赤毛が対照的だった。
 さすがに昔と比べて年老いてしまった私は、気が短くなってしまっている。彼女をいたぶるにも飽きて、その美肉に埋没したくなった。
 膝を抱えて、腰を一突き。
「あ……んっ、んっ!!」
 更に浅いところから深く。
「ああっ……ど、どうにか、なってしまいそうっ!!」
 もう一突き。
「ん、ん、あ、ああっ!! あん、ああんっ!!」
 こんな華奢な身体のどこに、これほど貪欲に快楽を追い求めるものがあるのか。つくづく女性は謎である。この年になっても、一向に判らないことだらけだ。
 花芯が妖しく蠢き出し、ペニスを包む。豊潤な愛液が次第に潤い、泉があふれていた。
 次の一突きで、こつんと奥に当たる。
「ああ、すご……い……ああ、あん、壊れてしまいそうです!!」
 後は単純な抽送になり、高まっていくだけでよい。腰に巻きついた彼女の足をいいことに、私はひたすらに花芯をえぐり続けた。
「いい、いいっ! ……あ、だ、だめ、だめです、ああ、いきます、やぁん、いくうっ!!」
 果てた彼女を尻目に、私は打ち込み続ける。玉の部分に次第に何かが集まり始め、ペニスに到達する気配がした。
「そろそろかの……う、う、う!」
 痙攣する彼女が、無意識に逃げようと身体をよじる。だが、足をきっちりと掴み、花芯を突きまくる。
 達して心ここにあらずといった感の彼女は、やがてまた顔を歪め始めてきていた。
「どうかね、中尉?」
「……ああ、何度でも、いきそうで……ああ、本当に本当に、ああ、だめえっ!!」
 美しい顔が歪み、柳眉にしわが寄った。そして私の背中に回っていた手足に、一際力がこもった。
「い、いっ、いく、いくう、いくのぉ!!」
 ペニスを駆け上る焦燥感が頂点に達し、私は、花芯の中へ臆することなくそれを出していた。
 魚のように跳ねる彼女の身体が、とても美しく見えた。

「閣下との後では、他の誰ともできなくなってしまいます……」
 微笑む彼女が可愛いことを言う。そういう賛辞は、お世辞でも嬉しいものだ。
「そうかね? 下世話な話ですまんが、例のホワイトベースの少年パイロットは、君にえらく執心だそうだが」
「どこからそんなことを……」
 美しい眉がひそまった。
「そんなの、うわさですわ! ……あの年頃の少年というものは、例外なく年上の女性に惹かれるものです」
 はて、私も若い頃はそうだったか。
「私は閣下だけです」
 脳裏に彼女のフィアンセのことが浮かんだが、どうしても顔が思い出せない。それどころか、さっき聞いたはずの名前も出てこなかった。
 年を取る、とは実に悲しいことだ。
 私は思い出すのを諦めて、
「……フィアンセともできなくなるのかね?」
 と意地悪く言ってやった。マッサージチェアーから起き上がった彼女は、女豹のごとく私に抱きついてくるのだった。
 やれやれ、三回戦目の始まりだわい。それ、老骨にムチ打つとするか。

 作戦会議前に、例のホワイトベース隊支援用のメカが到着した。
「では、将軍、届けて参ります」
 ここ数日、あれほど愛し合ったというのに、彼女はやつれるどころか、逆にバラの花の大輪のような笑顔を見せていた。
「うむ、道中、注意してくれたまえ。ミデア部隊は、敵の真っ只中に突入する訳だからな」
「はい、渡すまでは、絶対死ねませんから……それと……」
 彼女は敬礼をやめ、私の耳元に近づいて囁いた。
「作戦終了後、また閣下に愛して頂きたいものですから」
 耳をそばだてる幕僚達に気兼ねもせず、私はそっと彼女を抱きしめてから送り出してやった。誰かに言うならば言え、うわさにするならすればよい。
 わずかながら、数機の航空戦力をつけてやることだけが、私にできる唯一のことであった。
 輸送機部隊の出発を見届け終えた私は、振り返って幕僚を召集した。
「では、諸君、敵戦力の確認を行おう」
 もう私の頭から、彼女のことは消えていた。
 そして、重荷に感じていた緊張もどこかへ消えうせていた。ただ、武者ぶるいに似た高揚感だけがあるのだった。

 

(了)

 

手を振って、「前進」とだけ短く命令したという、例の人です。といいますか、赤毛の輸送部隊指揮官を書きたかっただけなんですが。
どうも相手のウッディ大尉が、私の中ではパッとしなくって。かといって、アムロを誘惑するマチルダさんも今ひとつ。アムロの妄想もな~
……待てよ、オデッサ間際だったら、エルラン中将?(笑)という訳で、レビル将軍にしました。
ま、きっと男ぶりのいいウッディ大尉のことですから、彼もきっと遠く離れたジャブローで浮気していることでしょう。
相手?……う~む、コーリン育児官あたりはいかがでしょうか?(爆)
七乃丞さんからレビル将軍とマチルダ中尉の挿絵を頂きました。本編ではモンチッチ(?)だったマチルダさんの謎の髪型(笑)も、これならスッキリしますね。
でもマチルダさんの顔、色っぽいです~七乃丞さん、ありがとうございました!