ウチは負けへん ~ラブひな~


 いい加減にし~や~、ほんまにもう!
 あの2人、人がいないと思うて、昼間っから玄関先でいちゃいちゃしてからに、ちゃんとウチがおるんやで、しっかり見とんのや。
 何やねん、あのラブラブぶりは。この暑さのせいで、ドタマ、おかしくなったんとちゃうか~
 お!・・・お・・・お・・・なるが目をつむりよった・・・お!!・・・けーたろが・・・おう、おう、おう、おう、キスしよった!!
 ちゅ、やて、チュ、チュ、やて。あ~あ、けーたろ、なんぞ頭ごちんいうてるわ、ほんまにアホや。
・・・なんかむかつくわ、あのバカップル!・・・腹立つわ、あいつら・・・ウチ、何が悲しゅうて人のラブシーン見てなあかんのや・・・怒るで、ほんまにしかし。
 まだキスしてるわ。か~見てんのも癪やから、酒でも飲んだろうかいな?・・・う、う、う、う・・・虚しすぎるで、ウチの青春・・・ああ、海でも出掛けてナンパされたらよかったんや。
 お!なるが外に出て行きよった、なんやけーたろは、今日も出かけんのかいな、ほな、腹いせにからかって遊んだろ。

「けーたろ!」
「ああ、キツネさん。」
 温泉の掃除でもするつもりかい、その格好。
「なんやなんや、なるとええ雰囲気やな、え?」
 肘で突っつくとけーたろは、慌ててごまかすように笑った。へ、笑ってごまかそうたって、騙されないんや、ウチはさっき見たばかりなんやで。
「そ、そんなことないよ・・・えへへ。」
 えへへって、またアホみたいに笑いよる。でもウチは、その笑顔にしげしげと見とれてしまったんや。
・・・ほんまに幸せそうな笑顔。小さい頃からの目標とかいう東大入学もこの間果たし、(ケガはしたけどな、たはは・・・)、一応なるっていう美少女(悔しいけど認めたろ!)も恋人(まだ恋人候補見習い代理みたいなもんやけど)もいるし、実家はそこそこらしいし、いざとなればこのひなた荘の家賃収入だけでも食ってけるらしい・・・なんや、なるはアホや!
 こんな条件満たした男、そうざらにはおらんて!何がいやでまだキスしかしてへんのかいな!!許さへんのかいな?
 よく見れば顔も悪くないし、東大生やし、性格も悪うないし、ただドジでマヌケなだけや。こりゃ、お買い得かもしれへんで!?
「そんなに笑うててええんかいや?」
「え?」
「ええか、なるは別嬪さんなんやで、出かけてる間とか、心配やないんか?」
「え?あ・・・ううん・・・」
 もう、相変わらず、煮えきれん奴っちゃなあ。
「どっちや、心配なんか、心配やないんか?はっきりし~や~!」
「あ・・・温泉の掃除行きます!!」
「あっ、コラ、ちょい待て~ぃ!」
 けーたろの奴、はぐらかして逃げよった。
 ちい、つまらんやっちゃ。あ~気分悪、酒でも飲んで憂さ晴らししたろっと。ビール、ビール、暑い夏はほんまにビールに限るで。

「う~い・・・」
 ち、何やもうカラかい?ひい、ふう、みい・・・500ミリの缶ビール3本も空けてもうたんかい・・・
 独りで飲んだってつまらんな、景太郎に酌させたろうかな・・・う、あかん、トイレ、トイレ・・・
 トイレに腰を下ろして用を足してると、何やええ気持ちやあ・・・うい、しかしよう出るな、風呂の栓抜いたみたいやな、おいしょっと、拭き拭き、よっしゃあ、さっぱりしたっ、まだまだ飲むで~
「あ・・・」
 何やけーたろやないか。
「こんな所で何しよんねん?」
 けーたろ、トイレから出たウチを見て顔赤くしよる。?ん、何や、一体?
「そ、掃除終わったんで、ほ、本でも読もうかと思ってさ。」
 そんなこと言って、ウチのおトイレ、覗こうと思ってたんちゃうか?
 そうからかおうと思ったら、けーたろが横向いて言った。
「パ、パンツ・・・」
 パンツがどうしたんや?
「うん?・・・あ!!」
 下を向いたらびっくりした。ウチ、パンツ丸出しのまんまやった!
「けーたろのドアホウッ!」
「バコ!」
 ウチの放った右ストレートが、けーたろのあごを打ち抜いた。まっすぐに振り抜いた感触がめっちゃ気持ちよかった。
「な、なぜに俺・・・?」
 へなへな膝から崩れていくけーたろの耳を引きずって、ウチは部屋に戻った。もちろんけーたろにお酒の相手させるためやったんや。

 独りで飲み続けても、ウチはどこか虚しかった。
 誰もひなた荘に戻って帰えへんし、けーたろは気を失ったまま起きようともせえへん。ウチのすぐ隣でのびたまんまやった。
 つん、と脇腹を突ついてみてもぴくりともしない。死んだかな、と思ってもお腹は上下動しとる。大丈夫、死んでない。
「・・・」
 短パン姿のけーたろは、真夏の灼熱の太陽の日差しを浴びても、全然動かんかった。
「・・・」
 どうしても視線がけーたろの短パンに行ってしまう。短パンの中心が、何やらこんもりしてたからや。
「・・・」
 目を離そう離そうとしても、どうしても見てしまうんや。
「・・・けーたろ・・・」
 声を出して呼んでも動かない。手が伸びた。ゆっくりとゆっくりと短パンへ近づいていく。その指先が細かく震えてるのは何でやの?
 つん・・・中指がこんもりした丘みたいな膨らみに触れた。けーたろを見たが、動きはなかった。また、つん、あかん、全然反応なしや。あんだけビール飲んでも、咽喉がカラカラだったので、またゴクリと缶ビールを飲む。酒の味が全然せえへん、ただの炭酸水を飲んだようやった。
 思いきって例のこんもりを掴んでみた。
・・・熱う!・・・何て熱いんや、ここ!!・・・
 こすこすしてたら・・・だんだん大きくなってきた。やがて短パンを突き破かんばかりになってきてた。
・・・う~わ、失神しとんのに、ほんまにスケベなやつやなあ・・・でもけーたろに触ってドキドキしとる自分は何なんやろ?・・・
 ウチの胸はばくばく鳴ってた。ドキドキしとった。またビールを1口飲む。それでもばくばく、ドキドキは治まらない。
 すう、すっ、こす、
・・・ウチ、頭おかしくなったみたい・・・一生懸命、短パンに手のひら当てて動かしてる・・・うお!・・・熱い・・・大きい・・・あんっ!・・・
 手の感触に震えながらウチはこすり続けた。汗が顔からどっと吹き出てきた。いつもはジージー鳴いてうるさいセミの声も、今は聞こえんかった。
 その内にけーたろの短パンが、邪魔で邪魔でしょうがなくなってきたんや。
「あ・・・」
 ウチ、声出してもうた。短パンからけーたろのアレが、先っちょを覗かしていたんや。まじまじと見ているうちにもう我慢できなかった。
 急にウチはけーたろのが、見たくなった。手を短パンに掛けて、一気にパンツごと下げたんや。
 途端にウチはきゃんって叫んでた。あれがぬっと目の前に飛び出してきたんや。
・・・ごくっ、うわ・・・すごっ・・・大きい・・・ごく・・・
 生唾が咽喉に落ちた。ウチはしばらく見とれてた。ごつくて、きれいなピンク色したけーたろのアレ。頭の先が少しだけ滲んでる。
「・・・触ってもええかな?」
 思わず誰とはなしに言葉が出た。ひょっとして心の底で、なるに謝ってたのかもしれんかった。ごめん、ごめんって思ってたのかもしれん。
・・・だけどもう遅いんや、ウチは自分を止められんかったんや・・・
 ウチは呟いてた。
・・・なるが悪いんや、いけないんや・・・けーたろのこと、放っておくから・・・
 ウチはけーたろのアレをニギニギしてる。
・・・そもそも回りの男達も、なる、なる、言いくさりおってからに、あ・・・なんや、腹立ってきたで・・・
 ウチの手の中で、いよいよけーたろのアレが大きく固くなってた。
・・・そのくせ、なるはポーッとしとるさかい、ウチにはええ男が回ってけえへんのや!あ~むかつく、むかつく、むかつくっ!!・・・
 こす、こす、こすっ、
 ウチはいろいろ考えている。
 初体験、悲惨な初体験、海でカッコええ男の子にナンパされて、ほいほい付いていったこと。日が沈むまで大騒ぎ、急に浜辺で押し倒されて、恐くなって逃げたけど、結局誰もいない岩場で水着脱がされて・・・後ろから無理やりされたあの夏の日。
 痛い、痛い言うて、嫌がっても
「気持ちいいだろ、気持ちいいだろ!」
 って、全然ウチの話聞かへんかった。
 うっ、て気持ち悪く叫んで、ウチのお尻に暖かいの掛けよって・・・はあ、やっと終わりやと思うたら、岩場に寝かされて2回戦突入や。今度はあそこだけやない、背中がごつごつした岩に当たって、えっちどころやあらへんかった。
 最後は出し終えたアレを口でしゃぶれと、髪引っ張られて起こされて、口ん中に気持ち悪いの突っ込まれて、吐きそうやった・・・よう考えたら、ほんまに悲惨やったなあ、ウチの初体験。
・・・と言うか、あれは完全なレイプやったわあ・・・
 もうあれ以来男としてへん。チャンスもそんなになかったし、恐くてできへんかった。皆の前ではよう知っとるフリして、耳年増なだけや。
・・・くそう・・・
 こす、しゅっ、しゅるっ、
・・・リベンジやっ、リベンジしたる!!・・・
 何にリベンジするのか、いまいち自分でも不明やったけど、あのウチの処女を奪った男にリベンジしたろと思った。そしてなるにもリベンジしたろと思った。なるは悪くないんやけど・・・いいや、悪いんや!なるの男、奪ったるんや、そうでも思わんと、男運のないウチが哀れすぎる、ミジメすぎる、可哀想すぎる。
 立ち上がって服を脱いだ。Tシャツ脱ぐ時、手が殊勝にも震えてたのは罪の意識のせいやろうか?
 とにかく全裸になって、まだ意識を戻さないけーたろの上に乗った。手を自分の股間にやると、いつのまにやら何か湿ってる。
・・・あ・・・ウチ、けーたろのこすこす触ってる内に濡れたんや・・・せや、興奮してるんや・・・
 くちゅ、くちゅっ、くちゅ、
 中指が奥に入ってく。普段は、自分でなんてしないんやけど、気持ちいい。まだ踏ん切りつかなくって、左手でアレをしごきながら自分の指で撫でてみる。
 こす、こす、しゅこっ、
 くちゅ、くちゅ、くちゅっ、
 いやらしい音がステレオで聞こえてた。片方はけーたろのアレの音、もう1つはウチの身体の音。頭が溶けそうや。
「あん・・・あ、あ、あ・・・あ・・・」
・・・まるでウチ、発情したイヌみたいに、感じてる、よくなってる、ああんっ、あ・・・ええかな、入れてええかなあ?~
 ぬるぬるになったウチとけーたろが、両手を汚す。湿った感じに頭がクラクラして、もう待てんかった。
「ん・・・よいしょっと・・・」
 けーたろのアレを持って、ウチは腰の位置を動かした。
 にゅぷ、
・・・ん・・・当たってる・・・
 にゅぷり、
・・・あ・・・先っぽだけが・・・
 にゅぷぷぷ・・・
 腰が落ちた瞬間、ウチは天井を仰いでた。久々のえっちやったせいや。最初、痛いかなと思ってたけどそんなことなかった。
「あん!・・・あ・・・あ・・・ああんっ!!」
 声が出た。奥まで入ったけーたろのアレが、ウチを貫いてた。何も見えなくなりそうになり、慌ててけーたろに抱きついた。けど、まだ気を失ったままなのが、残念やった。
 とりあえず挿入したんやけど、何か物足らん。ああ、せやった、動かなあかんのや。
・・・でも、どんな風に動けばええんやろ?・・・
 あんまり経験ないから判らん。初体験は痛かっただけで参考にならんし、昔、女友達の部屋で見たエロビデオのように腰振ったらええんやろうか?
・・・あ~あ、もっと遊んでおくんやったなあ・・・
 後悔の念に打たれながらも、ウチは何とか動き始めた。最初はけーたろと身体を合わせたまま、きつく密着する。
「ん、ん、ん、あ、あ、あ、ああっ!」
 だんだん気持ちよくなってくる。次は身体を起こして上下に揺れてみた。
「あ・・・あ・・・ああっ、こ、これ・・・いい・・・すごい・・・めちゃ・・・あ、あ、ああん、ん、ん、ん、んくっ!!」
 ウチの思いがけない場所をアレが突いてる。まるで中身をほじくるように、アレがえぐってた。
「あんっ!あ、ああんっ!・・・あ・・・ええわあ・・・ん、ん、ん、はぁ、はぁ、んっ!!」
 身体が反った。反動で乳房が揺れる。時には肩こりさえ起こす乳房が重く揺れて波打った。乳首が痛くなってた。触って欲しくて、けーたろの手を持ってあてがうと、痛さが取れて気持ちよくなってた。
 汗が目に入って痛かったが、腰の動きがよすぎて、やめられそうもない。ウチは必死に腰を振っていた。
 じゅっ、ずぷっ、ずぷ、
 いやらしい音がしてる。ウチが動くたんびに粘膜の音がしとる。
「あっ!あっ!あ、あ、あ、あ、ああん、いい、いい、気持ち、ええようっ!!」
 ウチ、絶叫してた。はん、はんっ、言って悦んでた。
 もうなるのことはどっか行ってた。忘れてた。
 これっぽっちも罪悪感なんて、どこにもなかった。女同士の友情なんて、もろいもんやと思うた。
 ただ、気持ちよくなればいい、と思うた。
 腰を振って、景太郎にされればいい、と思うた。
 乳房を揉みしだいて、自ら動けばいい、と思うた。
「ああっ!ああっ!はん、はぁんっ!あ、あ、あ、あ・・・あかんっ、ウチ、あかん!」
 でも、なるのことを忘れてるようで、決して忘れてはおらんかった。

 ウチはなるを出し抜いた、という背徳の思いにほくそ笑んでたんや。

 ウチはなるに先駆けて、なるの男としとるんや。

 ウチはなるに負けへんのや。

 ざまあみいや!

「あん、あん、ああんっ、あかん、あんっ、あかんっ!!」
 夏の暑さに溶けそうなウチの身体。快感があそこから全身に行き渡るこの感じ。
 なるを裏切ったという罪の意識が、欲望を膨らましてるのかもしれんかった。
「あん!あかん、だめやっ!ウチ、あん、あ、いい、そんなん・・・あ、ああ・・・」
 ウチがもうすぐ、というその時やった。
「キツネさん、ただいま、帰って参りました!」
 突然人の気配もしなかったのに、襖が開いた。ウチと廊下の向こうにいる制服姿の素子の目が合った。
「・・・」
「・・・」
 ウチは裸で、しかも景太郎の上に乗ってゆっさゆっさと跨っていた。
 対する制服姿の素子は、竹刀と菓子の箱らしい包みを持っていた。
・・・けーたろは死んだままやし、圧倒的にウチの方が分が悪いわあ・・・
「・・・」
「・・・」
 ウチと素子は凍りついたままやった。
 蒼白くなっていた素子の顔が、今度は赤くなってた。
「・・・」
「・・・あ・・・こ、これは・・・失礼、失礼します。」
 永遠に続くかと思った沈黙が遂に破れた。素子が急いで襖を閉めた。
「あ・・・待ち~や、素子っ!」
 ウチが慌ててけーたろから離れようとした瞬間、乳房が痛いくらい強い力で掴まれた。
「・・・もっとしようよ、キツネさん、もっとやろうよ。」
 けーたろがぱちっと目を開けて笑ってたんや。
「!け、け、け、け、けー・・・」
 言葉が続かんかった。
「動いてよ、早く動いてよ。」
「けっ・・・け、け、け、けーたろ・・・あんた・・・起きとったんかい・・・」
「うん。」
「・・・うん、ってあんた・・・あ、ああ、ああんっ、けーたろ、そんなんしたら、あかんって!」
 下からけーたろがウチを突き上げ始めたんや。腰をくい、くいって捻り込むようにして、ウチを揺らしていく。
「しょうがないなあ、動いてくれないなら、よいしょっと。」
「!あん!」
 けーたろが身体を起こして上になったかと思うと、いきなり激しくウチを突いてた。
 ぱん、ぱん、ぱんっ、て。ずっ、ずっ、ずっ、って。
 畳がこすれて背中が痛いんやけど、そんなん気にならかったんや。
 素子に見られたせいで1度は醒めかけたウチの快感が上昇してく。どんどん上がってた。
・・・あ・・・いい・・・いい・・・いいっ・・・ええわあ・・・ああっ!・・・
「キツネさんて可愛いよね。」
 耳元でけーたろに囁かれた。関西人なら寒いこと言うなや、で終わりなんやけど、今のウチは違うた。かーっと全身が熱くなり、また気持ちよくなってた。
「したかったんだ、えっちしたかったんだ?ね、そうでしょう?」
「・・・そ、そうや!・・・あ・・・あ・・・あん、ウチ、あ・・・あ・・・あんっ!・・・したかったんやあ!!」
・・・あ、ウチ、おかしくなってる。もう、だめや・・・だめや・・・だめなんや・・・もっとけーたろにされたいんや・・・
 ウチの願い通りにけーたろがする。浅く深くずぶずぶとウチを弄ぶけーたろに、おかしくなっていく。木の葉が風に吹かれるみたいに、流されていく。ふわふわと浮いた感じがしてた。
「あ・・・あ・・・いい、いいっ、けーたろ、もっとウチにして!!」
「・・・ちょっと待ってね・・・」
 後もう少し、という所でけーたろがいきなり身体を離した。愕然とするウチを尻目に、けーたろは襖まで行って
「・・・覗きはよくないよ、素子ちゃん!」
 がらっと開けると、廊下にいた素子が
「わっ!」
 半身を転がしながら部屋に入り込んできた。しかも手をスカートの中に入れてるようやった。
「う、浦島、覗いてた訳ではないぞ、覗いてた訳がなかろう!」
 赤面した素子がムキになって否定する。だけどけーたろは優しい声でこう言ったんや。
「自分でしててそんなこと言っても、全然説得力ないよ、素子ちゃん。」
「はっ。これは・・・あの・・・あの・・・違う!」
「まあ、いいから、襖閉めてこっちおいでよ、素子ちゃん。」
 抵抗する素子の手を無造作に引いて、けーたろはまだ横になったままのウチのそばに来た。素子が恥ずかしそうな視線でちらちらとウチを見る。お行儀よくちょこんと正座して、ウチらのことを熱心に見とった。
「近くで見たいでしょ?・・・じゃ、キツネさん、いくよ。」
 足が広げられて露わになったウチのあそこに、けーたろが入ってきた。いやがる気持ちなんてどこにもなかったんや。そう、早くして欲しかったんや。けーたろのアレを心から欲しがってたんや。
「あん!あああ・・・あっ!」
 けーたろにひしっと抱きつくウチを潤んだ瞳で見てる素子。その視線がまたウチの羞恥心を煽るんや。
・・・あ・・・あ・・・素子に見られてるんや・・・ウチのいやらしいトコ、見られてるんや・・・は、恥ずかしいけど、気持ちええわ・・・ええわあ・・・あんっ!・・・あかん、あかん、あかんって、あん、もうウチ、ウチ、ウチ、あん、んうっ、いいっ、いい、いいっ!・・・
 身体ががくがくって痙攣した。
「ああ、あんっ、いい、けーたろっ!ウチ、いいっ、いくうっ!!」
・・・ああ、達したんや、ウチ、遂にいったんや・・・本でしか読んだことのない、いく、ってやつがこれなんや・・・
「うっ!」
 低く呻いてけーたろがウチの乳房に発射してた。それを素子がじっと息を殺しながら見てた。きらきら光る目でずっと見てた。

 いい加減にし~や~、ほんまにもう!
 あの2人、人がいないと思うて、昼間っから玄関先でいちゃいちゃしてからに、ちゃんとウチがおるんやで、しっかり見とんのや。
 何やねん、あのラブラブぶりは。この暑さのせいで、ドタマ、おかしくなったんとちゃうか~
 お!・・・お・・・お・・・なるが目をつむりよった・・・お!!・・・けーたろが・・・おう、おう、おう、おう、キスしよった!!
 ちゅ、やて、チュ、チュ、やて。あ~あ、けーたろ、なんぞ頭ごちんいうてるわ、ほんまにアホや。
・・・なんかむかつくわ、あのバカップル!・・・腹立つわ、あいつら・・・ウチ、何が悲しゅうて人のラブシーン見てなあかんのや・・・怒るで、ほんまにしかし。
 まだキスしてるわ。か~見てんのも癪やから、酒でも飲んだろうかいな?・・・う、う、う、う・・・虚しすぎるで、ウチの青春・・・ああ、海でも出掛けてナンパされたらよかったんや。
 お!なるが外に出て行きよった、なんやけーたろは、今日も出かけんのかいな、ほな・・・ほな・・・ほなっ・・・

 けーたろが部屋に入ってきた。
 上から下まで舐めるような視線にウチはぞくぞくしとった。
「ほな、しよっか・・・」
「さっさと脱いでよ、キツネさん。」
 そのひどい言い草にウチは堪らなく濡れるんや。早く抱いて欲しくなるんや。
・・・早う、早う、早う・・・
 黙々と服を脱いで裸になると、けーたろが近づいてきた。その後ろには、早くも目を潤ませた素子が続いとった。

(了)

亭主後述……

「ラブひな」人気薄の紺野みつね嬢で書いてみました。他のWEB上でもあんまり見当たりませんね。
関西弁っていうとイロモノ扱いですから、しょうがありませんかねえ。(笑)
私は別に関西出身ではなく、8年程住んでたというだけなんですが、関西弁にもいろいろあるんですよ~
京都弁、大阪弁、河内弁、和歌山弁、神戸弁、滋賀弁……たくさんあります、でも全部違うんです。
文章は書けますが、漢字変換に困りました~
ところで漫画ではキツネとなるが同じ学校で、というエピソードがありましたが、年齢的に?と思ってしまいました。
誰かこの矛盾を解決して下さい。
……とにかくそのエピソードから妄想してみました。
素子は、絡ませた方がよかったかいな?
あれ、私まで関西弁の虜に……