恵子の凄春 ~無敵超人ザンボット3~

 部屋に入ると、心配そうな表情で恵子がこっちに来た。
「誰にも見られなかった?」
「そんなに心配なら、会わなくってもいいんだぜ。」
「・・・そんな・・・ひどい・・・」
 恵子が手に口を当てて、ひどく哀しそうな顔をする。そんな仕草も、俺の情欲を駆り立てる道具の1つでしかない。
 俺は黙ってぐいと恵子を抱き寄せ、唇を塞いでやった。いやいやと暴れるのも最初だけで、後はすぐにおとなしくなる。たっぷり唇の感触を楽しんでから、舌を絡ませあう。こうなると恵子の方が大胆になって、俺を求めてきた。
 華奢な首筋を味わうと、ひいっと悲鳴を上げながら恵子の身体が、溶けたように熱くなる。そのまま、ベッドに押し倒してやった。
「ああ・・・一太郎さぁん・・・一太郎さぁん!!」
 俺の身体の下で恵子が喘ぐ。熱い熱い身体から、甘酸っぱい少女の匂いと、発情する女特有の匂いがしていた。
・・・こいつ、もう興奮してやがる・・・
 ふんと鼻を鳴らしながら、俺は恵子のTシャツをめくり上げた。白い清楚な感じのブラジャーが見えている。ブラの上から荒々しく、余り大きくない乳房を掴むと、恵子が俺の腕を取って懇願するように言った。
「お願い・・・痛くしないで、一太郎さん・・・」
「・・・嘘つけ、乱暴な方がいいんだろうが、お前はよ!」
 ぐっと力をこめると、恵子が痛そうに喘ぐ。形の整った眉がひそまり、美しい顔が歪んだ。
「ううっ・・・い、痛い・・・」
「痛いけど、気持ちいいんだろうが・・・ええ?」
「う、うん・・・痛いけど、気持ちいい・・・」
 恵子の顔がぽうっと薄紅色に上気している。たまらなくなって、俺は乳房の間に顔を近づけ、思いっきり肌の匂いを吸い込んだ。
「はぁ・・・はぁん・・・一太郎さぁん・・・ああ!」
 伸びた手が透き通るほどに美しい。握ったこぶしに力が入って、白くなっている。
「ああ・・・く、暗くして・・・」
「いやだね。」
 まだ小さく薄い胸を露わにした。明るい照明の下で、可愛く恵子が震えている。普段は勝ち気なくせに、こんな時だけは可憐だ。恥ずかしそうにする姿を楽しむためにも、暗くする訳にはいかないのである。
 俺は恵子の横にやや太目の身体を滑りこませながら、サクランボのような乳首を含んだ。
「ああ・・・はぁん!!・・・あう、あう、あうっ!!」
 ぴくぴく恵子が痙攣している。ぎゅっと俺の身体にしがみついてきた。乳房に顔を押しつけられた格好である。べろべろ舐めながら片手を下半身に伸ばしてやると、恵子はもっと刺激を望んでいるようで、足を更に大きく開いた。スカートの中で恵子の花芯がもう湿っていた。
「一太郎さんっ・・・もっとおっぱい舐めてえ!!」
 要求に応じながら、恵子のパンティーを探る。固く尖った乳首に、布地越しの花芯の感触。舌で舐め、指で犯してやる。2面攻撃で恵子の吐息と喘ぎ声が、次第に大きくなってきた。
「もっと・・・もっと直接、私に触って・・・ね、触ってよお!!」
 恵子はパンティーから触られるのが好きではないらしい。下着がぐしょぐしょに濡れて、汚れてしまうからだ。だが、俺には関係がない。恵子をもっと辱めるため、汚してやるため、指を布地の上からこすってやるのだ。
「うう・・・あ・・・やぁ・・・やぁ・・・汚れちゃうよお・・・やぁ!」
 喘ぎ続ける恵子の口を舌で塞いだ。苦悶に耐えながらも、吸い返してきた。指を掻き回す速度をどんどん早くしていくと、きゃんと短く叫んで俺にしがみついてくる。
 薄い布1枚で花芯を守っているパンティーが、滴る愛液で用を成さなくなってきていた。まるで、肌と一体化してしまったようだった。
「い、一太郎さぁん・・・もう・・・もう、脱がしてよっ・・・あぁ・・・ああっ!」
 身体を起こして学生服を脱ぎ捨てながら、恵子のぐしょぐしょに濡れていたパンティーを下ろしてやった。湿っているので抵抗が大きくやりにくい。お尻を浮かせて、膝まで脱がす。そして片方の足首に引っ掛けたまま、大きく開かせた花芯に舌を近づけていった。距離が狭まるのを認識しているためか、恵子の身体の震えが大きくなる。花芯からはとめどもなく愛液が滲んできていた。
「恵子のすけべ!もうこんなになってるぜ。」
「ち、違うもん、恵子、すけべじゃないもんっ!!」
 少し怒ったように恵子が頬を膨らます。そんなの舐めてみればわかることだ、と思いながら俺は舌を花芯に潜り込ませた。
「あう!・・・はぁ!・・・あ、あ、あ、ああんっ!!」
 恵子の味は少し塩気がした。細めた舌先をどんどん体内に入れていく。事前にシャワーでも浴びていたせいか、恵子の肌から微かに清潔な石鹸の香が漂っていた。指で敏感な突起を触ると、恵子の肢体が弓なりになってくる。ふるふると突起が赤く肥大化していた。更に愛液が分泌され、苦味が増してきていた。
 恵子の声が聞こえてこない。よく引き締まったお腹が波を打っているのに、声がしないなんてと不思議だな、と思って口を離した。恵子の様子を見ると、なんと恵子は枕カバーを噛んで声を押し殺しているのだった。
「う、う、う、うぐっ・・・はぁ、はぁ、あぐ、ううっ!」
「・・・おい、恵子、感じているじゃねえか。すごいぜ、ほらあ。」
 恵子が目を開けた。俺は突起から指を離して、まとわりついている粘液の糸を恵子に見せた。
 いやいやと恵子が首を振った。長く垂らしたポニーテールが揺れている。それを見た俺の情欲が突如、火を吹いた。
「恵子、犯してやるっ!」
「・・・は、早くして、恵子にいっぱいしてっ!」
「入れてやるからな。」
「ああ、お願い、早くぅ!!恵子をめちゃくちゃにしてようっ!!」
 いきりたった怒張の先端を、恵子のこれまた濡れまくった花芯に押し当てた。途端に恵子は枕カバーを顔に埋め、必死に声を洩らすまいと堪えている。だが、その美しい顔が見れないのがつまらないので、枕カバーを取り上げベッドから落としてやった。
「ああん、ああ、あ、あ、あ、あ・・・すごい、一太郎さぁん!!恵子、恵子、壊れちゃうよう!!」
 深く突き立てた、俺の怒張がまるで杭を打つかのように恵子の花芯に刺さっている。浅く、深く恵子の肉壁を味わうかのように動いてやる。
「勝平達みんなに、恵子の大きい声が聞こえちまうなあ、おい?!」
 意地悪く言うと、またいやいやをする。恵子は羞恥心にどうも弱いらしい。言葉で辱めてやると、だらだらと愛液が花芯から流れてくるのだ。
「はうっ!!・・・あ、あ、恵子、おかしくなっちゃうよう!・・・あん、そこっ!!」
 薄目を開けた恵子の両腕が虚しく空を抱く。今度は形のいい足が俺の背中に巻きついた。一段と深くなった挿入で、恵子の悶えが激しくなった。
「あ~はぁん!だめ、だめえ、あ、あ、あ、あ、恵子の身体っ、おかしくなるのおっ!!」
 こすれる粘膜の音が俺達を高まらせていく。折れた膝に引っ掛かって何度となく揺れる白いパンティーが、扇情的だった。俺は目に入ってくる汗と戦いながら、恵子の羽根のように軽い身体を起こした。今度は花芯をえぐる角度が異なったせいか、違う愉悦の声が聞こえてきた。
「ううん!う・・・あ、う、う、う、いい、いい、はぁ、はぁ、うんっ!」
 舌を入れると恵子も求め返す。俺に抱っこされたまま、恵子は体内奥深く貫かれながら、絶頂への行程をたどっているのだった。
「おら、いけよ、いっちまえ!」
「・・・いいの?いって?・・・あん、あ、あ、あ、一太郎さぁん、恵子、も、もうっ!」
 がしがしと恵子の身体を振り回す。俺の怒張もそろそろ限界が近いようだった。
「いいぜ、いけ、いけったら!!」
 固く閉じた瞳の縁から、涙のしずくがこぼれていく。俺はそれを舐め取った。しょっぱい味がしていた。 
「はう、あう、あん、ああんっ、うう、いい、いい、あっ、も、いくう、いくう!!」
 恵子の痙攣が細かく震えた。その瞬間熱い鼓動がして、俺は恵子の中へ発射していた。2度、3度、ずっと射精するたびに恵子は短く喘いでいた。

 恵子との密会を終え、ビアル1世の艦内を歩いて行くと、向こうから宇宙太がやって来た。例によって、薄ら笑いを浮かべていた。俺は、昔からこの従弟の全てを知ったような薄ら笑いが気にいらないのだが、今はガイゾックとの戦闘中である。個人的に気に食わないとは言っていられる状況ではなかった。
「よう、一太郎さん。」
「宇宙太、ザンブルの点検終わったか?」
 宇宙太は肩をすくめた。
「とっくに終わりましたよ。・・・んで、一太郎さんはここで何を?」
 まさか恵子の部屋でSEXしていたよ、とは言えないので
「ああ・・・奥の倉庫で、補給部品の整理整頓してたんだ。」
 宇宙太がにやっと笑った。
「あれえ、おかしいなあ。さっき、一太郎さんを探して、平左ヱ門じいさんが、そこら中の内線を呼び出してたんだけどなあ・・・」
「う・・・」
「ホントはどこにいたんです?まさか、けい・・・いや、何やってたんです?」
 俺の目を覗きこむようにして、宇宙太が言う。
・・・こ、こいつ・・・何か感づいている・・・
「倉庫にいたよ、たまたま出なかっただけだろう。・・・おじいさんが呼んでるんだな。」
「はい、そうですよ。」
 宇宙太が歩き出した。俺は振り返って、通路の奥へ消えていくその背中を見ていた。

「うう・・・うぐっ・・・ちゅぷ、ちゅぱっ・・・ん、ん、ん、はぁっ!」
 恵子は悩ましい吐息を洩らしながら、懸命に俺の怒張を咥えている。俺は目を閉じて、しばらくの間、恵子の舌触りを楽しんでいた。
 明日はいよいよ宇宙へ出発である。逃げ出した・・・いや逃げたかどうか判らないが、ともかくも宇宙へ上がったガイゾックの基地、バンドックを追っての旅立ちである。まったくもって防衛軍の兵士達が、ザンボット3の操縦ができないと判ったので、キングビアル1隻だけの出撃だった。もちろんザンボット3やキングビアル等のビアル星の科学技術の設計図や手引書は、防衛軍に渡してある。建造にはしばらく時間が掛かるだろう。それを待っていられないための出撃だった。
 明日からは死闘が続くに違いない。俺は、いやがる恵子を無理矢理キングビアルの甲板に連れだし、犯すことに決めたのだった。
 いつのまにかおしゃぶりに熱心な恵子の舌が、俺の怒張に絡みついている。たっぷり口にたまっていた唾液が、唇からあふれて甲板に落ちていく。恵子は咽喉の中まで深く呑みこんだ。そしてまた怒張の先まで、一気に出し入れをする。その繰り返される刺激に、俺は絶え間なく先走りの汁を垂らしてしまう。
「玉も舐めてくれよ。」
 俺が頼むと恵子は口から怒張を離すと、2つの玉を舌の平らな部分で舐めていく。ざらざらした舌の感触と、絶え間なくこすられる怒張自身への恵子の指の動きが、俺の快楽を段々と高めていくのだ。
「う・・・あ・・・恵子っ・・・恵子・・・・け、恵子!」
 俺は恵子のさらさらした髪のてっぺんを撫でてやる。恵子の動きが速度を増した。
・・・や、やべえ・・・出ちまいそうだ・・・
「ちゅぱ、ちゅぽ、ちゅぷ、はぁ、はぁ、ん、ん、んっ!」
 俺の迷いを知らずに、恵子は情熱的にしゃぶっている。
・・・どうしようかな、このまま出そうかな・・・それとも恵子の中へ、ぶちこもうかな・・・
 どちらも魅力的なアイディアに思えてしまう。恵子のきれいな顔を俺の精液で白く汚すのもいいし、恵子の花芯の中へ吐き出すのも悪くない。
 ただ、時間が余りないのも事実だ。何せ、今キングビアルには、神ファミリー全員と香月君やミチさんまで乗っているのだ。恵子のお母さんも遅くなると心配だろうし、小さな子供達や香月君やミチさんにこの現場を見られないとも限らない。
 俺は迷った挙句、恵子の身体を味わうことに決めた。
・・・じゅぽん・・・
 恵子の顔が追いかけてくるのを、腰を引いて避けた。恵子が不審な顔をして、俺と怒張を見つめている。
「立てよ・・・」
 恵子が立ち上がった。その唇を奪うと恵子がもがき始めたが、すぐに静かになって舌を入れてくる。恵子の口は、俺の怒張の味がしていた。
「壁に手をつけよ。」
「え?・・・い、いや、こんな外でなんて、いやっ!」
 俺の意図を悟った恵子が抵抗する。無視して、恵子を後ろに向け壁に手をつかせた。そして、パイロットスーツのショートパンツの部分を一気に膝まで下げた。
「一太郎さん、いやっ、いやだったら、いや、やめて~!」
「・・・あんまり大きい声出すと、おばさんに聞こえるぜ!」
 この一言はよく効く。あれだけいやがった恵子が静かになっていた。はっと口に手をやって、辺りを伺っている。
 周りからは物音1つ聞こえない。ただ、駿河湾の波の寄せては返し、寄せては返しの音だけがしていた。
「・・・思った通りだ、恵子、お前はどすけべなんだよ!」
 俺は、恵子のパンツの中に入れていた指に触れる温かい粘膜の感触を確かめて言った。
「もう濡れてるじゃねえか!この淫乱!」
 しゃぶりながらも恵子は、とっくに濡れていたのだ。
「やぁ・・・恵子は違うもん・・・違う・・・ああっ!」
 俺が怒張を柔肉の中に挿したのだ。すぐに恵子は高い声を上げて、壁に身体を預けていった。ちょっと角度がいまいちよくないので、恵子の腰を曲げてやるとちょうどいい具合になった。
「あう、あう、あう、ああっ・・・はぁ、はぁ、はうっ!!」
 浅く数回突いてから、今度は奥まで入れてやる。潤沢になった恵子の愛液に包まれて、急に怒張の進入が楽になった。
「ち、違わねえよ・・・恵子はどすけべで、淫乱で、しゃぶってる時から濡れ濡れで・・・」
「違う・・・違うの・・・ああん・・・あ、あ、あ、あ、はう!」
「これがないと、生きていけないんだな!」
「そん、ああ・・・そんな・・・ひどい・・・ひどい・・・あ、あ、あ、あ、ううっ!」
 もう何回目かのSEXで、恵子の弱点は知っている。ここだ、恵子はここに弱いのだ。こんこんと上側を突くと、花芯がぎゅっと怒張を締めつけた。
「あ、そこ・・・そこ、いい!そこ、いいようっ・・・あ、あ、あ、ああんっ!!」
 声がか細く高まっていく。早くも恵子は達しようとしていた。何とか踏ん張って、俺は恵子の弱点だけを突き続けた。
「い、一太郎さぁん・・・一太郎さぁん・・・恵子、いっちゃうよう・・・ああん・・・いい、いい、いい、はぁん、いくよっ、いくう!!」
 崩れそうになる恵子を俺は必死に支えた。だが、恵子はそのまま達したようだ。一気に体重が重くなった恵子の花芯が震えた瞬間、俺もこらえきれずに放っていた。
「あ・・・あ・・・あ・・・」
 俺の射精を受け止めながら、恵子が短く、それも力なく喘いでいる。
・・・よかった・・・気持ちよかった・・・
 俺はひくひくする恵子の余韻を楽しむと、顔を上げた。
・・・だ、誰か見ている・・・
 暗闇に慣れた俺の目が誰かの人影を捕えている。恵子には言わずに繋がったまま、目を必死に凝らすと人影が段々はっきりしてきた。
・・・う、宇宙太・・・あれは、宇宙太だ・・・
 甲板の向こうに立っていた人影は、どうやら宇宙太らしかった。そしてその宇宙太らしき人影は、俺の凝視に気づくとくるりと踵を変えて、船内へ入っていった。
・・・宇宙太・・・宇宙太・・・

 いよいよガイゾックとの最終決戦が始まった。おじいさんとおばあさん、それに父さんの貴重な犠牲で、バンドックに損傷を与えたのだった。
・・・涙を拭くヒマなんて今はない、戦うのみだ!・・・
「勝平、イオン砲を使え!」
 どうせビアル1世だけのエネルギーでは、バンドックを倒すには不充分なのだ。イオン砲をザンボット3に装着させ、勝平は涙と怒りの一撃をバンドックの頭にお見舞いしてやった。
 有史以来始めてではないか、という位の大爆発が起きた。俺達は涙を出して喜んだ。ザンボット3のコクピットで、恵子も泣いていた。
「ブッチャーだ!」
 宇宙太が敵の首領、キラー・ザ・ブッチャーを見つけていた。
「サ、サイボーグなの?」
「おまえ達は一体何のために、ワシと戦ったのだ?おまえの身内の者は戦いのために次々と死んでいった!地球を守ると言って。だが、どこの誰がありがたがってくれるんだ?誰があそこで感謝している!?誰が喜んでくれる!?」
 だが、ブッチャーはすぐに爆発の中へ消えていった。
 これで終わると思ったら大間違いだと、すぐに気づかされることになった。

 バンドックの胴体部分が襲い掛かってきた。ビアル1世とザンボット3がガイゾックの放つ催眠光線で同士打ちをする羽目になったのだ。だが、負傷して催眠のとけた宇宙太によって、危うく俺達は救われた。
「ガイゾックめ、見てろ!!」
 勝平の怒りの声が聞こえている。ザンボットカッターを繰り出し、バンドックへ突撃を試みる。1回目の突入でバンドックの機体を切り裂いていく。もう武器のないビアル1世では見守るだけなのが、歯がゆかった。
「もう1回だ!」
 勇ましい叫びを上げて、ザンボット3が2回目の突入を開始した。
・・・注意しろ、勝平・・・
 俺は祈った。手の平が汗でびっしょりだった。
 バンドックのビーム砲が、飛び出したザンボット3に直撃した。さしものザンボット3も、もうもちそうにない。
「バンドックめっ!」
・・・勝平、1度帰還しろ!・・・
「恵子・・・ザンボエースをそっちで切り離してくれ。ザンブルもザンベースも、もうダメだ!」
・・・宇宙太?・・・何を言うんだ?・・・
「宇宙太・・・判ったわ。」
・・・止めろ、恵子・・・何言ってんだ・・・お前・・・
 恵子の操縦で、ザンボエースだけがコンビネーションアウトされていく。俺は咽喉が渇いて、何も言い出せなかった。
「う、宇宙太、何故コンビネーションアウトした!?まだ一緒に戦えるんだぞ!」
・・・そうだ、勝平の言う通りだ、宇宙太、恵子・・・1回戻れ!・・・ 
「冗談じゃないぜ・・・こっちは見事に手足がなくなっちまったんだ。」
「・・・とにかく2人で体当たりぐらいできるわ。とどめを刺してみせるっ!」
 ザンブルとザンベースが合体したままのザンボット3の下半身がバンドックへ向うのが、いやにゆっくりと見えていた。
・・・恵子、お前今何て言った?・・・とどめだと?・・・
「宇宙太、恵子、早まるな!!イチ兄ちゃん、マグナムを、マグナムをくれっ!」
「了解!」
 それだけは言えた。
「戻れ、宇宙太、恵子っ!!」
 ビアル1世から、ようやくマグナムが射出された。
「宇宙太、恵子!!」
 バンドックのビーム砲がが機体をかすめた。ザンボエースが、ようやく腰に接続したマグナムでバンドックに狙いをつけるが、すでに2人はバンドック間近まで迫っている。
「お、おい!!」
・・・止めろ、宇宙太、恵子!・・・
「すまねえ恵子・・・俺がこんなにやられてなけりゃ、恵子にコントロールしてもらうこともなかったのによおっ!」
「何を言ってるの、今更。目標針路いいわね?ぶつかると同時にイオンエンジンを爆発させるのよ。」
・・・ぶつかる?・・・やめろ、やめろよ、恵子!・・・
 後から久作おじさんの嗚咽が聞こえた。
「よおし、バンドックの死角に入ったぞ。」
 2人の目前にバンドックが迫る。これは悪夢だと思わずにいられない。
「このまままっすぐだ、恵子!」
「出力最大、イオン臨界オーバー!」
 いやに冷静な恵子の叫びが耳に入ってきた。
「・・・勝平、先にいくわね~!さよなら・・・父さん・・・母さん!!」
 最期の声がかすれていた。
・・・やめろ、恵子、死ぬなよ!・・・俺を置いて逝くな!!・・・
「・・・すまねえ・・・恵子!!」
 宇宙太の低い声が俺の耳を打つ。
 俺はその時、理解した。宇宙太も恵子のことが好きだったのだ。愛していたのだ。最後の最後で、宇宙太は宇宙太らしい方法で、俺の恵子を奪い去っていくのである。それも、確実かつ残酷な方法で、自分だけのものにしてしまうのだ。 
 ザンボット3が激突した。機体がグシャグシャに壊れていくのが、はっきりと見えていた。
「ああ~!!」
 恵子が叫んだ。カン高い悲鳴が、俺の身体をずたずたに切り裂くような気がしていた。
・・・恵子、恵子!!・・・
 独り残った勝平のザンボエースが大きく開いた穴に侵入していくのを、呆然と見ていた。
 俺は今、喪ったものの大きさを知った。

(了)

 

亭主後述……
恵子たん。はかなくも気高き、そして短い一生でした。合掌。
本当はもっと宇宙太ととも絡めたかったんですが。
一太郎と宇宙太の間で揺れ動く、女心を描きたかったんですけどね。
構成上、こうなってしまいました。
もっと恵子のエピソードが欲しかったんですよ~1話だけしかないんだもん。
恵子たんの振袖姿に萌え~乗馬姿に萌え~金田伊功さん作画の恵子たんに萌え~