汗ばんだ裸体がしなり、大きくて柔らかい乳房が何回も揺れた。
「あっ、あっ、ああっ!!」
甘い唇を吸う。唇を割って、舌を探して捕まえて、思いきり絡ませた。
ルーの唾液を啜って、それを思う存分味わった。
「ん、んっ、んう、あ、ああっ!!」
巨大な乳房の頂きを口に含む。不思議とそこも甘い、と思った。
魅惑的な身体が震える、震える。何回も揺れて、震える。俺とルーの快感は交差し、それぞれ頂点を目指していた。
身体を起こし、今度は鋭い突き込みを食らわせた。
「あん、あん、あん、ジュドー、私、私」
懇願するような、甘えるような瞳の色。濡れた眼差しが、俺にもっともっとと訴えていた。
「感じる? ルー、気持ちいいの、ね?」
「う、うん、すごく、すっごく気持ちいいのぉ、あ、そこ、そこっ!!」
ジュピトリスの中、他にすることもなく長い航海の間、俺とルーはえっちに励んでいる。
元々、二人とも豊富な経験がある訳ではない。実は、俺にとってルーは初めての女であることは内緒だ。もっとも頭の回転の速い彼女のことだ、とっくに俺のウソに気づきながらも黙っていてくれているのかもしれない。
ルーの豊満な身体は、我慢とか禁欲という言葉を唱えて守り続けるには、余りにも刺激的過ぎた。
航海実習や数学の授業、船の下働きの後、余った時間の間、することのなかった俺達は、とうとう身体を重ねてしまった。
俺からでもなく、ルーからでもない。なるべくしてなったのかもしれない、というところか。
揺れる乳房、汗の飛沫が顔に飛ぶ。口に入ったのを味わってみると、ひどくうまかった。
その間も濡れ細ったルーの花芯は、いよいよ俺を締めつける。可愛い哭き声は次第にカン高くなっていき、頂点の訪れが近いのを思わせた。
「ジュドー! あ、あっ、愛してるぅ、好きなのぉ!」
「あ、俺」
告白を聞いた途端、戦慄が走った。鋭い快感が体内を走り抜け、一気にペニスに集約した。
「で、出そう」
「あ、ああん、もう、私もいっちゃう、いい、いいのぉ!!」
白い首筋を仰け反らして、巨乳をまた揺らして、青く長い髪の美少女が絶叫した。それを見ながら、俺は見事な胸の曲線の上で果てるのだった。
何度も舌を重ね合うディープなキスの後、俺は先にシャワーを浴びた。
長い旅路のジュピトリスでは水が貴重だったが、高度な循環システムのお陰で、俺達のような見習い航海士でも潤沢に水を使うことができた。
不足の場合は、そこら中に転がっている太陽系内の氷の塊でも牽引すればいい。本当にできるかどうか俺は知らないけれど。
シャワーを出て、ルーに声を掛けた。すれ違いざまに彼女は白い歯を見せて、俺にまたキスを求めた。
「ジュドー、最高だったわ。私すっごく感じちゃった」
と笑いながら。
えっちの余韻を冷まそうとデッキに向う。火照った身体がだんだんと静かになっていくのが心地よかった。
ブリッジに上がるのが気が引けたので、途中コースを変えて、宇宙が見える展望台にいくことにした。単なる木星のヘリウム採掘のためだけでなく超長距離航行用に開発されたため、ジュピトリスの船体は恐ろしく長かった。
航海士の誰かが言っていたが、頭からお尻まで走るだけで充分な運動になるのだそうだ。俺もえっちばかりでなく、たまには健康のことを考えてランニングでもしようかしら。
……ルーも隣で、でもタンクトップにショートパンツの彼女の姿はセクシーだろうな。胸が思いきり揺れて、汗をかいてタンクトップが透けて。そのまま押し倒したら、あん、なんて色っぽい瞳で俺を見つめる……
いかん、妄想していたらまた勃起しそうだ。
頭を切り替えようと星々の輝きに目をやった。静かな光景はいろいろなことを考えさせてくれるのだ。
リィナ。俺の最愛の妹。セイラという赤い彗星の妹さんに保護されていた。イーノが世話してくれるそうだが、あの野郎、変な気持ち持ってないだろうな、心配だ。
だけど、根性なしだから心配しなくてもいいか。
エルとビーチャ。いつのまにかデキちゃった二人。エルにはちょっかい出したことも出されたこともあったけど、今はもういい思い出だ。幸せになって欲しいと思う。
ビーチャが心配だ。ひょっとしてエルは、奴にはもったいないかもしれない。
モンド。ラサラさんを喪った心の傷は癒えただろうか。
心の傷、俺にとってはプルとプルツーだ。幼い一生を終えた二人の少女は一体、何のために生まれ、死んだというのか。
ジュドーと俺の名を叫び、笑い、泣き喚き、そして露と消えてしまった二人のプル。かつての元気な姿が偲ばれて、瞼が熱くなった。
手すりに持たれて、眺めていた宇宙がぼやけた。不覚にも俺は泣いてしまったのだ。
そのまま五分ばかり少女達の思い出に涙していただろうか、悲しみに浸って、そのどん底からようやく立ち直ろうとした頃、不意に後ろから声を掛けられた。
「貴様がそんな泣き虫だとは知らなかった」
「???」
慌てて涙を拳で拭って、後ろを振り向いた。照明が落としてあるため見にくいが、そこには一人の女性が立っている。
髪は金髪のセミロング、瞳の色は見えないが、暗い中キラキラとよく光っている。白い割烹着みたいなものを着て、モップらしきものを持っていた。
船の制服ではないから、ジュピトリスの清掃員といったところか。
「あんた誰? 俺知らないよ」
「フフフ」
女は謎めいた笑いをして、口を開いた。
「貴様が知らなくても、私は知っているよ」
「あのね、初めて会った人に貴様なんて言われたくないよ、ったくさ!」
しかし違和感があった。「貴様」という呼び方に引っ掛かる何かがある。
思い出せ、ジュドー・アーシタ、思い出すんだ!
「初めてではない、ジュドー」
謎の女はそう言って、持っていたモップを手放すと俺に近づいてきた。カランと乾いた音が、記憶の底から俺に彼女を思い出せるキッカケを産んだ。
「お前、お前、ま、まさか」
近づいてきた女は、にやりと冷たくて意地悪な微笑みを浮かべた。それを見て間違いない、と思った。
手を伸ばして俺の首を抱き、女はそっと顔を寄せた。
「私は帰ってきた。地獄の底から」
「お前は……ハマー」
最後まで言えなかったのは、キスで唇を塞がれたからである。俺は金髪のカツラが落ちていくのを見ながら、ハマーン・カーンの折れそうに細い身体を強く抱きしめていた。
しばらくしてから、
「地獄の底から帰ってきたのだよ、ジュドー・アーシタ」
とハマーンは耳元で囁き、妖しい笑みになった。呆然とする俺に再び唇を重ね、舌を重ねてきた。
「う、う、う、ちょ、ちょっと待って、ハマーン」
「小さい声で呼んでもらおうか」
迂闊だった。ハマーンは連邦にその生存を知られたらお終いである。慌てて周りを窺って、他の人の気配を探ったが、展望台には取りあえず余人はいなかった。
「大丈夫だ、他の人はいない」
「どうしてハマーンはここに? いやそれよりどうして生きてるの? ケガはないの?」
「落ちつけ、ジュドー。私はそんなに多くの質問に一度に答えることはできない」
やがてハマーンは、割り当てられた自室にいくことを促した。戸惑いながらも、俺は従い、最後の戦闘以降の話を聞いた。
コントロールを失ったキュベレイの残骸は、ハマーンを乗せたままアクシズに衝突する寸前、リゲルグに助けられたと言う。
私を助けてくれたのはイリア・パゾムだ、とハマーンは語った。周囲が崩壊していく中、リゲルグは遅れてやってきた連邦艦隊の監視網をすり抜けて、月のグラナダに到着した。
イリアは、ハマーンの身柄をアナハイム・エレクトロニクスに託すことにしたのだ。死の商人アナハイムのメラニー・ヒュー・カーバイン会長は何を考えたか、ネオジオンの女帝を匿い、保護して病院で治療まで受けさせた。
「どうしてアナハイムは?」
「私に恩を売っておけば、また儲かる算段に繋がるとでも考えたのだろう」
俺は腕を組んで唸ってしまった。ネオジオンの敗北で、地球圏は安泰になった。これがメラニー会長達にとっては逆に悩みの種、ということなのだ。
戦争のネタがなくては、アナハイムの商売は成立しないのである。
しかしハマーンの身柄は、アナハイムにとって諸刃の剣だ。保護したことが連邦に知られれば、まずいことになる。
「それで木星に?」
「ほとぼりが醒めるまで、地球圏から追放しておけばいいとでも思ったのだろう。それに」
「それに?」
「ジュピトリスには貴様が、ジュドーがいる」
「ハ、ハマーン……」
「貴様は私を一人の女として扱った。俗物的だがそれで構わないと思った。最後、貴様が伸ばしてくれた腕を、私は決して忘れない」
ハマーンの瞳が濡れている。
俺が指し伸ばした腕を、あの時ハマーンは拒絶した。その彼女が今、目の前にいる。生きている。
「ジュドー・アーシタ。私は貴様から離れない。離れるつもりもない」
ハマーンはアナハイムが偽造したIDで船に乗って、俺の跡を追い掛けてきた。清掃の仕事に身を隠して、俺を追ってきたのだ。
「ハマーン……」
「ジュドー……私はお前を」
後は言葉は必要がなかった。俺は誇り高きハマーン・カーンを抱き寄せてベッドの上に押し倒し、彼女の口を塞ぐことに、キスすることに夢中になっていた。
白い身体のあちらこちらに唇をつけて吸うと、可憐で押さえた喘ぎ声が聞こえる。意外に敏感だと思ったら少しおかしくなった。
「何がおかしい?」
いつもの、いや昔ながらのハマーン節になったことに気づいて、慌てて再び太腿の付け根に口を寄せた。
「答えろ、あん、ああん、あっ!」
途中で節が変わって、切なくも艶かしい声になる。
頭を両手で押さえつけられて、苦しくなったが、溢れ出すハマーンの蜜を味わい、口の中で転がし反芻する。甘く、ほろ苦く、豊潤で豊かな蜜液は衰えを知らず、俺の愛撫に応じていくらでも染み出してくるのだった。
指と口、どこをどう触れてもハマーンは反応を示した。鋭敏過ぎる感じ方でネオジオンの元女帝は、悶えてくれた。
そんなハマーン・カーンが愛しい。アクシズの岩隗に消えたはずの孤高のニュータイプ。
生きて、俺に会うため、孤独にも独りジュピトリスに乗って、そして。
それを思うと舌の動きが早く、激しくなった。結果として、大量の分泌を促して、蜜液を吸い取ることとなる。
「あっ、ああっ、あっ!!」
べとべとになる俺の顔と口回り。発達するきれいなピンク色の肉芽に軽く歯を立てて、ハマーンを齧ってみた。
「あん、ああん、ああ!!」
びゅくん、びゅくんとハマーンが跳ねたが、追い打ちをすべく舌を彼女の体内に潜り込ませ、また肉芽を刺激した。
何回も跳ねて、振り絞った声が声帯から洩れて痙攣する。登り詰めてしまったのか、上下動はだんだんと静かになり、やがて深呼吸だけが聞こえるようになる。
「いっちゃったの、ハマーン?」
口の回りの汚れをハマーンの腿で拭い去って反応を待ったが、返事はなかった。別に気を失った訳ではあるまい、ただ返事をする気力もないくらいになってしまったのだろう。
「ハマーン様、大丈夫?」
返事はなく、大きく胸を揺らせての呼吸が聞こえるだけだった。ハマーンの隣に寝そべり、そっと指を大洪水の股間に伸ばした。
指が花芯に触れた瞬間、ああ、とようやく声が洩れた。
「生きてる?」
「……ああ、生きてるとも、あん、ああ」
指を一本奥まで進めたのだ。何の抵抗もなくスルリと入った指で内壁を掻き回すと、
「あ、あ、やあ、やっ!!」
ハマーンが俺に抱きついてきた。形のいい花のような唇を軽く吸って、
「敏感だね、感じやすいね」
顔を赤らめて小言でも言いたそうになるが、指の動きが狂わせるらしい。とうとう無言で、しかし切なそうに喘ぐのだった。
「ジュ、ジュドー……」
「ん?」
「貴様と一つに」
「えっ?」
「なりたい……あっ、ああっ!!」
「うん、判った」
花芯から指を引き抜いて眺めてみた。やや透明、少しだけ白く泡立ったように、指先が鈍く光っている。それをペロリ舐めるとハマーンの味がした。
「よ、よせ! そんなもの、舐める奴がいるか!」
と叱られた。俺はにやっと笑って、
「いるさ、ここに」
キスをしてやった。たちまち従順になってしまったハマーンは、キスに没頭し俺を抱こうとする。その姿勢のまま股間を割って、膨れ上がったペニスを収めるべき場所へ持っていく。
「ジュドーが当たってる、私に……」
快感のせいで声が虚ろになっている。
「ハマーン」
「ジュドー」
声が重なった瞬間、俺はハマーン・カーンの中に入っていった。
「ああ、ジュドー、ジュドー!!」
大きい声でむせび泣き始めた。
熟れているのでもなく、まだ幼いということでもない。ただネオジオンの運命をその細い身体一身に背負っていた女帝がすべてを棄てて、ただの女になってしまっているのだ。
それが、ハマーンに対する俺の想いを強くさせた。
「ああ、いやぁ、ああ!!」
両膝を折り曲げて、より深く侵入する。一気に絡みついてくる襞が、俺をも感じさせた。
揺さぶって、揺さぶって。突いて、花芯を突きまくって。花芯の蠕動は、いよいよ俺を導こうと駆り立てるばかりだった。
まずい、と俺は焦った。このままでは、早くも暴発してしまうに違いない。
ハマーンの軽蔑を恐れて体位を入れ替えることにした。うつ伏せに寝かせた彼女を、後ろから責めることにしたのである。
反り返った、先程の突き込みでべとべとに蜜液で濡れたペニスをゆっくりと花芯に入れていく。深く入っていくに従って、ハマーンがまた悩ましい声を出し始めた。
「あっ、あっ、あっ!」
脂の乗った白い背中が持ち上がり、ピンクの髪が揺れている。
「あん、あん、あんっ!」
震える声。髪と同じくピンクに染まりつつある肌。
よく引き締まったウェストを掴み、何回となく引き寄せ、また突き立てる。肉襞は蜜液を滴らせて、太腿を伝わって落ちていくのが見えた。
こつん、こつん、俺が踏ん張ってハマーンを貫いた瞬間、一層大きな声が上がった。
「ん、ん、ん、あ、いく!!」
後は無言である。弛緩した身体は一気に力を失って、そのままハマーンは前のめりに倒れ込んでしまっていた。
「お、おい、ハマーン!」
心配になった俺は身体を揺り動かす。
「大丈夫か、おい!」
「そんなに揺さぶるな。これでもちょっと前まで、ケガ人だったのだからな」
汗だらけのハマーンは薄く笑った。
「そ、そうか。でも本当に大丈夫かい?」
「……貴様は残酷な奴だな、ジュドー・アーシタ」
「な、何でだよ」
予期せぬ言葉を浴びせられて戸惑った俺をハマーンは下から抱き寄せ、耳元で呟くように言った。
「私をこんなに責め立てて、本当に残酷な男だ」
この時、脳裏にハマーンの言う残酷な男の名が浮かんだ。が、しかし、ここでその名を言うには、はばかりがあるだろう。
「まだまだ。あんたには、もっと気持ちよくなってもらわないとね」
後ろから貫かれて絶叫するハマーンの背中を見て、跨ってよがるハマーンを下から見上げ、再び正常位でハマーンを抱きながら、俺は心から湧き起こる「愛情」を感じていた。
ハマーンは俺しか守る人がいないのだ。
俺しかハマーンを守れないのだ。
「ハマーン、俺が守ってやる」
「……あっ、あっ、あん、ジュ、ジュドー……」
繋ぐ手に力が篭もり、キスを交す。ハマーンを文字通り折れそうになるくらいに抱きしめた。
「あ、ま、また、いく……ああ!!」
それはほとんど同時に俺に押し寄せた。女帝が達したのを見計らって、それを見届けてから俺はワザと美しい裸身を汚してやった。胸から腹まで、白い精液で染めてやったのだ。
「私は貴様から離れない」
「俺も離れないさ」
か細い声のハマーンの唇を奪って、俺達はしばらく快楽の余韻に浸ることにした。
「で、イリアはどうなったの?」
「知らぬ。病院のベッドで目を覚ました時にはいなかった。本当かどうか、メラニー・ヒュー・カーバインも知らないそうだ」
「ふーん」
恐らくイリアは人目を引くリゲルグの処分をおこなったのだろう。それで、その後何かの都合で帰れなくなった。
「で、一つ聞きたいのだが、ジュドー?」
「え? 何だい?」
身を起こしたハマーンは意地悪そうに笑った。それは昔よく見せた冷笑に似ているとも思えるのが、腹立たしい。
「私を守ってくれるのはいいのだが、あの胸の大きい青い髪の娘はどうするのだ?」
しまった忘れていた、ルー・ルカのことだ。
「え……あ、どうしよう!」
「まさか両方とも一緒にいく訳にはいかぬだろう。何だったら、私から彼女に話してもいいのだぞ」
「待てよ」
「聞き分けのない娘であれば、エアロックの外に摘み出して」
ハマーンはとうとう恐ろしいことを言い出した。
「冗談は寄せよ!」
「ここから途中下車ということもできまい。楽にしてやった方がいいぞ」
俺はガタガタ震え出した。ハマーン・カーンを庇護することの重大性、責任感もそうだったが、ルーが怒ることを考えて、である。
本当に背筋が寒くなってきた。
「まあ、殺すことはない。だが、いつでも私から言ってやってもよい」
背中に抱きついてきたハマーンの身体は暖かいが、反対に俺の心には風が吹いていた。
戦争が終わっても、地球圏を離れようとしていても、まだまだニュータイプの修羅場は続くのである。
(了)
亭主後述・・・
修羅場。いえいえこんなのホントの修羅場ではありません。(笑)
ハマーン様とジュドー、なかなかよいカップルではございませんか。
以前ハマーン様の「死」を扱ってみましたが、ここにきて急にIFカップル、来ちゃったハマーン様に目覚めてしまったのです。(爆)
ジュドーめ、苦しむがいい。ヒヒヒ。(核爆)