儀式 ~機動戦士ガンダム~

 中央アジアに吹く風は、ひどく寒かった。

 外に出て、肺腑の奥まで冷えた空気を吸い込んでみると、たちまち鋭い針が刺すような痛みが起きた。

 俺はコホコホ咳き込んだ。

「大丈夫ですか、中尉殿?」

 今日の歩哨を務める若い兵隊が言った。

 俺は手を上げて、

「ああ、大丈夫だ。冷えた空気がたまらんな」

「じ、自分は地球が初めてであります。雷といい、砂嵐といい、何もかも驚くことばかりで」

 若い兵隊だ。地球の自然現象の脅威の前には、恐がるのも無理はあるまい。

 ぽんと肩を叩いてやって、

「心配するな。俺も、雷には小便がちびりそうになった」

 にやりと笑うと、若い兵隊は安堵したような笑顔をみせた。

「ちゅ、中尉殿がでありますか?」

「おかしいか?」

「い、いえ」

 そのくせ、笑いを堪えている様子だった。

「あ、ありがとうございます。おかげで恐くなくなりました」

「よし。お、そろそろ時間だ。お前は参加するのか?」

 かざした時計の針が、そろそろ9時を差している。もうまもなく儀式の始まりであった。

「自分は、後で参加させて頂きます」

「すまんな。早く交替を寄越すようにするから」

「はっ、気をつけていってらっしゃいませ」

 敬礼で応えるものの、若い兵隊の顔が上気しているのが分かる。

 きっとこの俺だって上気しているだろう。火照るような思いと身体の疼き、特攻作戦前だけの儀式を前にして、興奮していた。

 黄色いギャロップのボディに手を掛け、タラップを登る。

 今晩の当番兵以外はすべて参加する予定だったから、兵士達は、格納庫には誰一人としていない。

 しかし、新鋭機のグフを失い、ザクのほとんどを失った今、使えるのはギャロップ、キュイだけである。最新鋭のドムというMSも届かず、ザンジバルすら取り上げられてしまった。

「こんな戦力で……ま、俺達はしょせんゲリラ屋だ。関係ないか」

 上層部の無力さ、マ・クベ大佐という友軍の非協力さに憤慨したものの、本来の俺達の戦い方しかできないことに密かに安堵する。

「クランプ、入ります!」

「おう、入れ」

 ノックして部屋に入ると、もう儀式は始まっていた。

 広い部屋にソファが置いてあり、そこに裸のランバ・ラル大尉が座っていた。片手に琥珀色のグラスを持って、いかにも楽しげな顔をしていた。

「遅かったな、クランプ。先に始めているぞ」

「はっ、歩哨に声を掛けて参りました」

「そうか、すまんな」

「いえ、これも自分の努めでありますから」

「若い連中も、早く交替してやらんといかんな」

「兵達も喜びます」

 大尉は笑い、声を掛けた。

「おい、ハモン、がんばって早くたくさん片づけんと、外の歩哨達がかわいそうだぞ!」

 兵達がどっと笑った。

 ソファの前で、兵士に後ろから貫かれているハモン様は、口に含んでいだ他の兵士のペニスをようやく離して、

「はい、あなた。それはいけません。寒空の見回りをさせていては、お気の毒」

 と言うが早いか、自ら腰を大きく振り始めるのだった。

 あんなに細い腰が、と感心する間もなく、突いていた、と言うか突かせられていた兵士がうぐっと叫び、

「ハ、ハモン様!!」

「いいのよ、あん、あ、あ!」

 両手に二本持ったまま、ハモン様が弛緩する。後ろの兵士が、腰を揺すぶって射精しているのだ。

「あ、熱い、熱い、ああ!」

「ハモン様……お口の方を」

 促す兵士に目をやり、ハモン様は妖艶に笑った。

「ごめんなさい、余韻が気持ちよかったから……」

 大きく口を開けてまた含み出す。兵はハモン様の頭を持って、気持ちいいと震えるのだった。

 後ろの兵士が、終わったペニスを白い尻にこすりつけて、精子の残滓で汚した。

 ヌルヌルの体液で照り返る白い背中と肌。それと対照的な青いブラジャーとショーツ。

 いや、ハモン様は汚れてなどいない。兵達に犯されて、美しく輝いているのだ。

「ラル大尉、終わりました」

 兵士が報告する。大尉は、グラスを渡してやり、残り少ない酒をちょっとだけ注いでやった。

「どうだった?」

「ハ、ハ、ハ、ハモン様は、さ、さ、さ、さ、最高です」

「わはは、そうか。おい、最高だそうだぞ!!」

 豪快に笑う大尉の声に、二人を交互に口で愛していたハモン様は、返事した。

「わたくしも、とっても感じてしまいました。さ、あなた達、どっちが先?」

 顔を見回した二人は目で合図をし、年かさの方がハモン様の後ろに回った。

「失礼します」

「あん、いいのよ、慌てないで……ゆっくり……あ、あ、き、きたのねっ!」

 次の兵士が前に出て、怒張したペニスを差し出すと、快感に喘ぐハモン様は舌を伸ばしていく。片手で他の兵を招き、やはりペニスを握った。

「あ、自分は出そうであります!」

 若い兵隊は、ちょっとした刺激にも弱いらしく、たちまち昂ぶった。そして輝く金髪に射精を始めて、振り掛けていった。

 存分に放ち終えたペニスを見つめ、愛しそうに含むハモン様は、エロスの女神である。

「ん、んっ、ああ、苦いのねっ、ん、あ、そう、そう、気持ちいいわ」

「ハモン様、ハモン様!!」

 バックで抱いていた兵がもう限界らしい。中に出すのが憚れるらしく、わざわざハモン様の背中に蒔いていた。

「さぁ、どんどんきて。きていいのよ」

 次々に群がる兵達。

 明日の白兵戦を前に思う存分なことをしたいのだろう。だから一回終わった者でも、再びその気になるのであれば、ハモン様にかじりつくのが許される。

 ハモン様が嫌がったり、痛がったりしない限り、許される。それがこの隊のルールであった。

 もっともハモン様は、たいていの男が嫌いではない。

「クランプ、お前はいかないのか?」

 男達に愛されて悶えるハモン様を見つめながら、大尉が言った。

 俺はラル大尉の股間を眺めた。でっぷりした腹の下、ペニスは陰毛の陰で小さく萎れている。

「まだ時間はありましょう。ゆっくり後でいかせて頂きます」

「そうか、ならばいい……明日、このうち何人が死ぬことやら」

「大尉」

「お、すまん。らしくないことを言ってしまったな」

 苦く笑った。

「連中が羨ましい。わしもあれくらいになれば、ハモンに挑めるのだが」

「ルウムの時でしたか?」

「そうだな」

 

 ルウム戦役の時、ランバ・ラル大尉は大活躍をした。ジオンの青い巨星として、その名を敵味方双方に轟かしたものである。

 副官として同行していた俺も、鼻が高かったものだ。

 ところが戦闘の時、今だ詳細は教えてもらっていないが、何かがあって、大尉は、男として不能になってしまったらしい。

 だから代わりに隊員を……

 

「ああ、あっ!! ああ、わたくし、いく、いくうっ!!」

「ハモンは喜んでおるな」

「はっ、それに兵の士気が高まります」

「もっと、奥までっ!」

 両手、口、身体とすべてを男達に塞がれるハモン様は、美しい。汗と体液が光り、金髪を振り乱して輝いている。

「満足した者は、当番兵と交替してやれよ!」

「はっ!」

 何人かが出ていき、代わりに入ってくる兵士達は、敬礼もそこそこに服を脱いで、ハモン様を愛でる順番の列に並んでいった。

「あ、あっ、こんなにたくさん、わたくし、嬉しい……」

 呟きも途中で止まる。新しいペニスの列を次々と含むからであった。

 頬をへこまして、ず、ずと音をさせて吸い、次のペニスに移る。その間も手で他のを刺激する。

 もちろん、後ろからの突き上げに対しても腰を振るハモン様。

 ああ、そんな痴態を、いやらしくもお美しいハモン様が。

 

「クランプ?」

「は、はあ」

 大尉は、俺を観察するような眼差しで見ていた。

「明日、死ぬなよ」

「はっ」

「それからもう潮時だ……お前もいけ」

 気がつけば、もう列はなくなっていた。

 今、ハモン様に絡んでいる三人が最後だった。さっき声を掛けた歩哨ですら、もう思いを果たしたようで、飲み物を片手にじっと儀式を見ていた。

「では参ります」

「ハモンを可愛がってやってくれ」

「はっ!」

 俺はその歩哨の肩に手を置いた。

「あ、ちゅ、中尉殿」

「どうだ、ハモン様に優しくして頂いたか?」

「こんなの、初めてです。女の人があんなに気持ちいいなんて、俺は知りませんでした」

 若い兵隊だ。そんなに知らないのだろう。

 俺は気の毒になった。明日の特攻作戦の成功率が高くないからである。

 それでも、

「そうか。ならこの戦争に勝って、他の女もたくさん抱いてみろ」

「はいっ!」

 歩哨の敬礼の側で、俺は制服を脱いだ。

 すでに下半身は熱く燃えたぎっていた。ハモン様に一刻も触れて、この疼きを鎮めたい。

 歩み寄った俺に、

「……クランプ、嬉しい。きてくれたのですか」

 頬にこびりついた兵達の精液。たっぷりと浴びた白い精液にまみれても、ハモン様の美しさは、変わらない。むしろ、普段よりも輝いている。

 笑顔を見て、俺の疼きが更に固くなるのだった。

「はい、ハモン様」

「お前が……あ、あん……あの人の側で、じっと見ているのは、知ってました……あ、あん」

「ハモン様!!」

 目の前で、兵士がペニスをハモン様の顔に押しつけて射精した。どろどろの奔流が、頬を、鼻筋を流れていく。

 そのペニスを吸引し、残りを啜ったハモン様は咽喉を鳴らして飲んだ後、また俺に、

「きてくれないかと寂しく思っていました……ん、ん、はぁ、あ!!」

 切ない瞳が、俺を射るように見ていた。

 この瞳が、この目が俺を狂わすのだ。俺は何も言わず、最後の兵に貫かれるハモン様の前に立った。

「あ、ああっ、ああ、嬉しい、クランプがこんなに……」

 両手で俺を握り、頬ずりをするハモン様が目を閉じる。すでに何人もの兵の精を浴びた顔で頬を寄せた。

「わたくしを……あん……汚れた女だと思っているでしょうね」

「決してそんなことは思っておりません」

「そう。ありがとう、クランプ」

 舌先が伸びて、俺の先端に触れると、電撃的な快感に膝が崩れそうになった。

 そのまま、ペニスが溶けるかと思ったくらいだ。

 ん、ん、ん、と悩ましい吐息と共に、激しい音。舌先が絡んで、俺は目を閉じる。だが、すぐに開けて、ハモン様の熱心な口技を見ていたくなるのだ。

 一回、苦しそうな顔になって、ため息を吐く。後ろの快感に、続けていられないのだろう。

「クランプ、ごめんなさいね……わたくし、わたくし、ああ、いきそうなの、ああっ!!」

「思う存分感じて下さい、ハモン様」

「あ、ありがと……う、ああん、いく、いくうっ!!」

 アップにしていた髪が解けそうになるくらい、ハモン様は痙攣し顔を床に落とした。

 達したのである。

 中で射精した兵が、荒い息と共にペニスを引き抜く時、美しい女体が数回震えてようやく顔が上がった。

「ハモン様、お美しい」

 感想が思わず洩れ、ハモン様は恥らうように笑った。最高に美しい笑顔である。

 そしてごろんと床に引っくり返り、

「さあ、クランプ。後はあなただけ。もうバックは辛いから」

「クランプ中尉が羨ましい!」

「よ、ランバ・ラル隊の副官!!」

 兵達が冷やかす中、俺は照れずに、ハモン様の両足を持った。

「さあ、クランプ。おいで……」

 中心に赤い女の花弁が蠢いている。何人もの兵の精を吸った後で、白く染められていた。

 俺は黙って、ペニスを宛がった。

 その瞬間、笑顔のハモン様の眉間にシワがより、俺を掴む手に力が入っていく。

「あ、あ、今日の、クランプ、すごい、ああ、すごいの」

 そんなことはないだろう、いつもの俺だ。きっとハモン様は、抱かれ続けたために身体が敏感になっているのだろう。

 それこそ花弁は俺を締める、締めつける。収縮し、絞り取ろうとするのである。

 深く突入し、足を折り曲げる。苦悶にも似た顔が更に歪み、ハモン様は悲鳴のような声で哭き続けた。

 と、そこへ大尉がやってきて、語り掛けた。

「どうだ、ハモン。いいのか?」

「あ、あ、ああっ、あ、なた……今日、わたくし、死んで……しまいそうです、ああ!!」

「ふふ、死んでもらったら、わしが困る……クランプ、もっとハモンを悦ばせてやってくれ」

 俺は、見つめあう二人を見ながら突き続けた。

 哭くハモン様を見る大尉の慈愛に満ちた眼差し。痴態を見られていることに恥じらいながらも感じてしまうハモン様の申し訳なさそうな、それでいて快感に歪む瞳。

 猛烈な嫉妬心に動かされて、俺はハモン様を抱いた。

「ソドンの町であった若造にも、こうされたかったのか?」

「……はい……いえ、わたくしがいろいろ教えてあげたかったです……ん、あ、ああ」

 わははと大尉は大きな声で哄笑した。

「こやつめ、正直だ。気に入らんな、わはは」

「だって、アムロ……君でしたか、とっても可愛かったんですもの……ああ、クランプ、そこ」

「明日は木馬と殺し合いだ。ハモン、気が済むまで抱かれればいい」

 髭の口が、喘ぎ声を洩らす花の唇に触れた。ひとしきり、舌と舌を絡め合った後、大尉は離れてソファに戻っていった。

 俺はハモン様に抱きしめられ、身体を揺すり続ける。爪が肩に食い込み、快感の頂点が近いことを匂わせた。

 断続的な吐息と高いかすかな声の連続、ハモン様が悶えた。

「ああ、わたくし、いく、いくっ、もうダメッ!!」

 歓声に突き動かされ、俺も弾けていた。ピンクに染まった頬を目掛けて、ペニスを向けた。必死に舌を伸ばすハモン様の口の中に、俺は思いの丈を放っていた。

 腰が抜けるような快感に身を震わせ、たくさん放った。その後もペニスを吸われ、身体がとろけるような錯覚が俺を襲っていた。

 不思議と、明日も生き延びれるような気がしていた。

 

(了)

 

亭主後述・・・

 

ガンダムエースを鑑賞したのですが、出た、ランバ・ラル隊とハモン様。(笑)

このカップル、ステキですよね~キスの時、身を屈めるハモン様が最高です。

エースを読んでから速攻で書いてしまいました。(笑)

さて、この作品はある友人に捧げます。

最近、元気がなく、ネット上でもあまりお見掛けしないのが、とっても寂しいです。

その方とは、OFF会の時、「ハモンさんを書きませんか」と誘って頂いたことがあります。

ですから、その約束(?)を果たすべく書いてみました。

私のハモンさんはこうですよ~早く元気出して下さいね~

何か感じてもらえば嬉しいのですが。