SEX MACHINE ~COWBOY BEPOP~


・・・醒めない夢でも、見てるつもりだったんだ・・・
 雨が静かに降る墓地で、ジュリアが寂しげに微笑んだ。
 はかなげなその美しさに見とれていると、ジュリアの構えた拳銃の引き金が、静かに引かれた・・・

「おい、スパイク!スパイク!!」
 眩しい光で目が眩んだ。真上から強烈に俺を照らしていた。
「駄目です、絶対安静です!」
 静止する声に続いて
「スパイク!!」
 先程の野太い声とは違った、カン高い声もしていた。首を動かそうとしても、無駄だった。力を入れても入れても、微動だにしないのだった。
 その内にまた頭がぼやけて、俺は眠りに落ちた。

 今度の夢は・・・我ながら驚いた。
 ビシャスと一緒に戦っていた時の夢だった。
 レッド・ドラゴンの頃、俺とビシャスは数々の修羅場を潜り抜けた。背中合わせになってマシンガンを撃ち、暴れ回ったあの頃。レッド・ドラゴンの龍虎として、派手に名を売っていたあの頃。
 俺はあの頃の夢を見ていた。
 間違いなく生きてる、と実感できたあの頃の熱い夢を。

 次に目を覚ますと、おなじみの天井が見えていた。小汚い船内、機械油と食用の牡蠣油の混じった独特の匂い・・・そう、ビパップ号の中だった。
 頭を起こすと、例によって、例のごとくジェット特製の肉抜き青椒肉絲を掻き込んでいる2人の姿が見えた。
「お・・・スパイク!」
 はしを落として、ジェットがソファから立ち上がった。つられて、あのフェイも立ち上がった。
「よっ・・・ジェット・・・フェイ・・・」
 思ったより、自分の声に力がなかった。ついでに身体を眺めてみると、腹も足も手も全部包帯だらけだった。まるで出来そこないのミイラ男だ。
「この野郎、心配掛けさせやがって!」
 ジェットが俺の身体を揺さぶった。その度に痛くて痛くて目の前に火花が散った。
 だが、その痛みが、俺がまだ生きていると実感させてくれるのだった。髭がすりよせられるのには閉口だったが。
「・・・よしなさいよ、ジェット!」
 やけに細い声でフェイが言うと、気づいたようにジェットがおとなしくなった。
「おお、スパイク、すまんすまん・・・どうだ、身体は痛いか?」
 痛いに決まっているのだが、俺は首を横に振った。
「無理しやがって、腹減ってるだろ?」
 どうやら、病院からは何とか退院したようだ。
 味気ない流動食はもうごめんだ、それに肉抜き青椒肉絲が妙に恋しくなっていた。
 俺が食べたい、と意思を示すとジェットは調理場へ向った。
「・・・」
「・・・」
 視線を感じて顔を向けると、フェイがこっちを見ていた。俺は少し驚いた。フェイの両の瞳に涙が一杯溜まっているような気がしたからだ。
「何よ・・・」
 本当は涙の理由を尋ねたかったのだが、フェミニストの俺は、
「・・・煙草を1本くれるか?」
 と、思わず言っていた。
「・・・はい、どうぞ・・・」
 白魚のようなフェイの腕が目の前に伸びた。一瞬だったが、その白さに目を奪われていた。
 口に煙草が差し込まれると、すぐに火が点けられた。
・・・ふう~・・・
 深呼吸して久し振りの紫煙を吸い込むと、胸一杯に溜めてからゆっくり吐き出した。
・・・うめえ・・・
 煙草がこんなにうまいなんて、ついぞ思ったことがなかった。いつもは何気なく火を点け、吸い、捨てるだけだ。それも手持ち無沙汰の合間を補うだけの作業に過ぎない。
 今は違った。肺腑に染み渡る煙草のうまさと刺激に頭をくらくらさせながら、俺は心底味わった。
「アンタ、何日寝てたと思ってんの~?」
「・・・ん?」
 フェイが今日がいつか教えてくれた。
 たまげた。俺がビシャスと決闘を果たしてから、3週間あまりが経過していたのだ。
「・・・神様がいるなら、寝ていた時間を返して欲しいもんだ・・・」
「バカ言ってるなら、もう大丈夫だわ。」
 ふわあとフェイがあくびして、目をごしごしこすった。よく見ると目が充血してるのに気づいた。
「はふ・・・ああ、ねむっ・・・さっさと食べて寝ようっと。」
「・・・お前・・・ずっと看病してくれたのか?」
 俺の包帯の真新しさがそれを物語っている。
「ん?ああ、それ?うん、ジェットと交代でね・・・はあ、お腹一杯になったし、あたし寝るわ、お休み、スパイク。」
 入れ替わりにジェットが、皿一杯に盛った肉抜き青椒肉絲を持ってやってきた。
「ん?・・・フェイ、休むのか?」
「お休み。」
 皿がテーブルに置かれた。身体を起こそうとするが、痛くて無理だった。俺を制して、ジェットがスプーンで口まで運んでくれた。
 あんまりゾッとしない光景だった。
「・・・ジェット、足はいいのか?」
 ジェットはレッド・ドラゴン一派の連中に足を撃たれたはずだった。
 ニヤッと笑うとジェットは
「ちょっと引きずるけど、大丈夫だ・・・それより自分の身体を早く直せよ。」
「・・・すまん。」
 ジェットがまたスプーンを運んできた。ぱくっとそれを口に入れながら、ゆっくり咀嚼していると
「お前・・・火星じゃちょっとした有名人だぜ?」
「あん?」
 ジェットの話はこうだった。

 レッド・ドラゴンの高級幹部は全滅した。
 何せビシャスが、敵対派閥の連中はもとより、自派の幹部連中を殺しまくったおかげで、レッド・ドラゴンは機能しなくなったという訳だ。
 そこで残った連中は考えた。
 即ち、この俺、スパイク・スピーゲルの再スカウトという手段である。もっとも再スカウトというか、武闘派ビシャスと堂々渡り合ったこの俺を首領として、迎えたがっているらしいのだ。
 事実、俺の運ばれた病院やビパップ号にまで、連中は俺を訪ねてきたようだ。

 当然のことながら、ISSP(太陽系刑事警察機構)もビパップ号の至急火星退去を求めているらしいのだが・・・出発できない理由があった。

 金がないのだ。スッカラカンなのだ。
 俺やジェットの治療費やら、船の修理代やら何やら、遂に金庫がスカスカになってしまったのだ。

「・・・その・・・ジェット・・・」
「あん?」
 俺は心からの誠意を込めて言った。
「・・・本当に申し訳ないと思ってる。」
 包帯の下からこの誠意が伝わるかどうか、神のみぞ知る所だが。
 よせやい、とジェットは手をひらひらと振って、今度は俺の顔を覗きこんだ。
「・・・レッド・ドラゴンの連中、必死になってお前を探してるけど、行くつもりはないよな?」
 有無を言わせない口調でジェットは言った。
「・・・」
「スパイク!!」
 腕を掴まれ、俺は死にそうな痛みに喘ぎながら、考えていた。
 太陽系最大の犯罪組織レッド・ドラゴン。
 弱体化したとは言え、まだその力は大きい。俺がそこに戻って・・・ええい、やめた、やめた、面倒なだけだ。
「・・・戻る気はないさ・・・」
 ジェットの手が緩んだ。
「そりゃそうだ、これから、じゃんじゃん金を稼がなくちゃならないんだから、早く身体を直してくれよな。」
「ああ。」
「それから・・・」
「うん?」
「フェイに礼をよく言っておけよ。」
「あん?」
「ほとんど寝ずにお前の世話を見てくれたんだぜ。」
「・・・」
「あの姿にゃ、感動したぜ。」
 またスプーンが運ばれ、肉抜き青椒肉絲を食べさせられた。

「じゃあ、行ってくるぜ。」
「行ってらっしゃ~い。」
 ハンマーヘッドで出発するジェットを見送るフェイの声を聞きながら、俺はひたすらリハビリに励んでいた。
 ジェットは動けない俺を残して、賞金首達を地道に追っていた。それも比較的安い賞金首を数多く追い掛けていた。
 台詞がまた泣かせるのだった。
『博打のような人生はごめんだ、まっとうな人生を生きるんだ、賞金首をたくさん捕まえてくるぞ。』
 賞金稼ぎこそ、博打そのものだぜ、とはとても言えなかった。
 安い賞金首を捕まえて、換金して、どうにかその日暮らしが出来るのだから文句などなかった。
 それに俺には一刻も早く身体を直す必要があった。
 もちろんスパイク流のリハビリは決まっている。
 功夫(クンフー)だ。功夫の修練こそ、俺の身体を癒してくれる1番の手段なのだ。
 内気功、外気功、軽気功。大極、小極。
 震脚して腕を伸ばして、身体の不具合を確認する。
 俺の身体は概ね良好だったが、ビシャスの刀に斬り裂かれた腹だけが、ひどく痛んだ。そこだけは醜い傷痕が残っていた。
「よく飽きずに続くわねえ。」
 戻って来て俺のリハビリを見ながらフェイが言った。
「身体を直さなきゃ、ジェットに殺されるからな。」
「・・・よく言うわ、殺したって、死なないくせに。」
 憎まれ口を叩きながら、フェイは自室に戻ろうとした。俺はそれを横目で見ながら言っていた。
「なあ、フェイ・・・」
「ん?なあに?」
「・・・いろいろ世話になったな、ありがとう。」
「・・・よしてよ、アンタらしくないじゃない・・・」
 驚いたことにあのフェイが頬を染めていた。思わず俺は、ジェットの賞金首追跡行の安全を祈っていた。

 賞金首追跡が長丁場になりそうだった。ジェットから、極冠まで行くことになりそうだと連絡が入ったのだ。
「ああ、判った、早く帰って来てくれよな。」
『了解。』
 ジェットがいないと困るのだ。名コックなのもそうだし、金が残り少ないのもそうだし・・・一向に出掛けようとはしないフェイそのものに難儀しているのだった。
 フェイは俺の目付役を自分に課しているのか、まったく俺から目を離そうともしないのだ。
 こんな天気のいい日には外に出て甲板上で演武したい所だが、フェイがまなじりをぎゅっと吊り上げて言った。
「アンタ、自分の置かれた立場が判ってないみたいね、レッド・ドラゴンの残党がアンタの身柄を押さえようと一生懸命なのよ!」
 確かによく辺りを伺うと目つきのよくない、かつ人相の悪い連中がビパップ号の周りにたむろしているようだった。

 俺がその日のリハビリを終えて、シャワーを浴びてからブリーフィングルームに戻ると、フェイが椅子でうつらうつらと居眠りをしていた。俺がジャケットを剥き出しの肩に羽織らせてやると、
「・・・アンタって、妙に変な所で優しいんだから。」
「起こしちゃったか、すまん、すまん。」
 ソファに座ろうとしたら、腕が掴まれた。
「・・・?」
「・・・変な所で優しいんだから。」
 まただ。また同じことを言われてしまった。話題が見つからなくて、
「記憶が戻ったそうだな。」
「・・・うん・・・あたしは地球出身で、50年前に位相差空間ゲート事故に遭って、冷凍睡眠してたって訳。だから本当の名前もフェイ・バレンタインじゃないの。」
「・・・いいじゃないか、フェイ・バレンタインで。いい名前だ。」
「1度聞きたかったんだけど・・・ジュリアとは・・・?」
 触れられたくない件を突かれて、手を振り払おうとすると、更に強く握り締められた。
「ごめん・・・いいの・・・だから、もう何も言わないで・・・」
 フェイが俺の手にくちづけした。一瞬、背中を炎のような官能の戦慄が走り抜けていた。
 顔を上げたフェイの顔にまた涙が滲んでいた。目を閉じるとあふれた涙が、頬を伝わってゆっくり落ちて行った。いつのまにか吸い込まれたように俺は、唇を重ねていた。
 この時だけは、ジュリアのことを忘れていた。いや正確に言うならば、ジュリアのことを忘れようとしていただけなのかもしれなかった。

「う・・・うっ・・・はぁ・・・」
 組み敷いた白い身体が跳ねる、踊る、揺れている。適度に湿って汗ばんだ柔らかい肌からは、いい匂いがして俺を欲情させるのだった。
 お互いの身体を露わにして、肌を重ねる。フェイを起こして、後ろから曲線を楽しむかのように撫で上げていく。
「はあ・・・あ・・・ああっ・・・」
 花芯を探る指が、ぬめりの中に入り込んでいく。たっぷりとした乳房を揺らしながら、フェイが悶えて身体を預けてきた。その乳房を揉み、柔らかさを味わっていくと、中心にある桃色の突起が自己主張をしていた。摘んでしごくとそれが細かく震えた。
「・・・ああ・・・あん・・・あ・・・あ・・・そ、そこ・・・感じるぅ・・・」
 固くなっていたペニスが、フェイの背中と合わさる。その白い裸身が、徐々に赤く染まっていった。
 悩ましい声と時折吹き掛かる甘い吐息に、俺は欲望を高めていた。フェイの花芯はいよいよ愛液で満ちあふれ、俺を待っているかのようだった。
 びくん、びくん、魚のように華奢な身体が痙攣する。ほどよく引きしまった筋肉質の身体をほぐすように、愛撫する。
「あ・・・あ・・・ああ・・・あん・・・ね・・・ねね・・・あたし・・・ああ!あたし・・・ん、んっつ、あ・・・ああっ・・・あんまり・・・痛くしないでね・・・あ・・・ああ・・・」
 媚びを含んだフェイの艶やかな眼差し。

 記憶を冷凍睡眠で失った女。
 50年程前、位相差空間ゲート事故ですべてを喪失した女。
 俺と同じ、何もかも無くした女。

 俺にも何もない。友も昔の女も仕事も自尊心も恐怖心も・・・おまけに金もない。
 いや、たった1つだけ、ある。ビパップ号だけがある。
 フェイも同じだ。

 俺はフェイの唇を吸い、舌を絡めた。こくこくと吸いながら、この欲情の刹那に身を委ねることにした。静かにフェイの身体を倒して、足を開いた。その中心に花芯がある。すべての命が生まれ出でた神秘の場所。今、それは密やかに蠕動を繰り返し、息づいている。
 ペニスをあてがうと、フェイの顔が少しだけ歪んだ。怖がっているのかもしれなかった。
「あ・・・あっ・・・」
 先端が触れ、フェイが反った。俺は迷うことなく一気に埋没させていた。
「あう!・・・あ、あ、あ、あ、ああっ!・・・あ・・・あ・・・あんっ!!」
 奥まで入った途端、ぎゅっと抱きしめられた。同時に日頃からご自慢の足も、俺の背中に巻かれていた。
 狭苦しい肉壁の中はとにかく熱かった。俺は夢中でフェイを突き上げていった。
「あ、あ、あ、ああっ!!い、いいっ・・・あ・・・あっ、あっ、あっ、あっ、そ、そこっ!!」
 フェイの声がどんどん高く細くなっていく。また唇を重ねると、フェイの方から舌を求めてきていた。ちゅ、ちゅと俺達は、久方振りの逢瀬を楽しむ恋人のようにくちづけていた。
 しばらく舌を絡めてから、今度は汗ばんだフェイの身体のあちこちに、痕を刻むかのように吸っていく。
「あっ!・・・ああっ!!」
 白い肌を赤く染めてフェイが喘いだ。肌を吸われる度に切ない声が洩れるのだった。
 俺は優しく髪を撫でながら、柔らかい耳を噛み、頬を吸い、また唇を吸ってやった。
「・・・」
 フェイが何か言っていた。よく聞き取れずに耳を近づけると、
「もうどこにも行かないで・・・スパイクッ!お願い、どこにも行かない・・・ああっ!!」
 爪が背中に立てられた。きっと血が出てるかもしれない、俺はそう思ったが、腰を休めずに送りこんでいた。
「あん!あ、あ、あ、あ、いい、いいよ、いいようっ!あ、だめ、だめえっ!!」
 感極まった声でフェイが絶叫した。ソファの上で跳ね、反った身体が痙攣していた。俺のペニスが、フェイの中できゅっきゅっと締めつけられていた。
「ジュリアの代わりには・・・あん、ん、んっ、なれないけど・・・あ・・・あ・・・ああ・・・ね、あ、あ、あ、ああ、抱いてようっ!」
 またフェイが何ごとか呟いている。
「・・・あ・・・ね、ねえ!一緒にっ!!・・・一緒にいって、ね、いってよおっ!!」
 甘えるような声が、俺にも火を点けた。快楽が頂点に達し、それが俺のペニスに集中するのだった。
「あっ、あっ、あっ、あっ、いい、いく、いい!!」
 フェイが達するのを見ていたら、俺ももうだめだった。引き抜いて、離れるのを嫌がるフェイの豊かな胸に振り掛けていた。
「はっ、はっ、はっ・・・」
 こんなにきついリハビリは、かえって身体に悪い、俺は毒づいていた。
「・・・こんなに・・・一杯・・・ああ・・・す、すごい・・」
 なかば放心状態でフェイが言う。おまけに、乳房の谷間に溜まった俺の精液を指ですくって言うものだから、余計に卑猥だった。
「・・・ね、気持ちよかった?」
 フェイが聞いてきた。俺は無言で首を縦に振っていた。
 ちょっと待てよ、そういうの聞くのは男の方じゃねえのか、俺は荒い息の中で思った。そう思っていると、身体を起こしたフェイが、あむっと俺のペニスをその形のいい唇で含んでいた。
「ちゅ・・・ちゅっ・・・ちゅる、ちゅる、ちゅる・・・じゅる・・・あ・・・大きくなってきた・・・も1回出来そうね・・・あむ、ちゅる、じゅ、じゅっ・・・」
 俺も現金だった、あっという間に回復していた。そんなにストイックなつもりはないのだが、今までが修道僧よろしく女とそうそうしたことないものだからかなと思ったりした。
「きゃっ!」
 俺はフェイを突き飛ばして、後ろ向きにさせた。尻を高く上げさせ、花芯をよく眺めてみる。
「やだ・・・スパイク・・・恥ずかしいカッコさせないで・・・」
 脂の乗ったきれいなフェイの尻の曲線。わずかに揺れ、花芯が俺を誘っているかのようだ。ピンクの花芯がふるふる震えて、可愛らしい。
「バック?・・・やだ・・・や・・・あっ!!ああん!!」
 俺が押し込むと、すぐにフェイが哭き出した。しかもあっという間に昂ぶった声を出していた。
「あ・・・いい・・・な、何・・・あん!き、気持ちいい!!・・・ああ・・・あ・・・いい、いい!!」
 やれやれ、当分リハビリは、フェイと楽しんでいけそうだ、俺はそう思った。

 3日してからジェットが帰ってきた。しかも無事、賞金首を捕まえてのご帰還だった。
「やった、これで船も出せるし、メシにもありつけるな~」
 俺は少し重たい賞金袋を受け取って小躍りしていた。
「やった、やった、ジェット様々だ。」
 だがそんな喜ぶ俺の顔を見て、ジェットがこう言うのだ。
「お前・・・何か悪いものでも食ったのか、頬がげっそりこけてるぞ。」
 思い当たるフシはある。あれからずっとフェイの求めるまま応じてきたのだ、痩せるのも当然だった。
「お帰り、ジェット!大漁みたいね、よかった、よかった♪」
 フェイが入ってきた。俺とは反対にフェイは色艶もよく、充足しきった満面の笑顔だった。
 備え付けの鏡に写った俺の顔は、顔色も悪く頬が落ち込んでいた。
「だから、女と子供は大嫌いなんだよ・・・」
 思わず俺はいつもの台詞を呟いていた。

 See you, next space cowboy……

 

(了)

亭主後述……

……ああ……中途半端過ぎるな、このお話。
スパイクは絶対フェイとはしない、そう確信できるのですが、ま、いいっか!
FatManさんのおススメで、カウボーイビパップをDVDで見ましたが、カッコよさに痺れまくりです。主題歌の「THE REAL FOLKBLUES」も最高でした!!
陳腐な表現ですが、宇宙版ルパン3世って感じです。
全編に流れるジャズの雰囲気が、ペーソスとロマンスとブラックユーモアを醸し出す逸品でございました。
何でもテレビ東京とWOWOWに分れて放映、ということですが、機会があればご覧下さいませ。
さて、私の力不足でしまりのない物語になってしまいました。スパイクはラストで死んだはず、なんてツッコミはなしですよ~
私に見ることをおススメしてくれたFatManさん、ありがとうございます!!
尚、タイトルはジェームス・ブラウン氏の名曲から頂きました。