愛は粘膜が作り出す幻想か? ~機動戦士ガンダム 第08MS小隊~


 青い月光が照らし出す裸身は、図鑑で見た彫刻のように美しい。月の光が冷たく映し出すのに、触ってみれば火照る程に熱いのが不思議だった。おまけに瑞々しいその身体からは、悩ましい吐息しかこぼれてこない。
 その肉体と甘い匂いに耽溺しながらも、俺は切なそうなアイナの顔をずっと見ていた。やがて片手で乳房を揉みしだいた。半開きの可愛い口許から、甘い吐息とかすれたような喘ぎ声だけが洩れている。釣鐘型の美しくもある両の乳房が恋しくなって、そっと舌を這わすと、裸体が更に跳ねるように動く。丘の上に息づく桜色の突起が、ぽつんと夜目にも尖っているのが見て取れた。ぺろぺろと舌の先で、下から震えている乳首を刺激してやった。
 はうんっと呻き、俺の身体の上にアイナが崩れ落ちてきた。快感に、支えていた腕が持たなかったらしい。俺はしばし、たっぷりと質感のある双丘に埋もれてその感触を楽しんではいたが、段々呼吸が苦しくなってジダバタともがいた。
「うぷっ、く、く、く、苦ちい!!」
「!あ・・・ご、ごめんなさい。」
 慌ててアイナが身体を起こした。急に楽になって俺は空気を吸い込んだ。
「ぷすっ!」
「?な、何?」
「くすくすくす・・・」
 アイナが何故か笑っている。
「何がおかしいんだよう?」
 俺はふくれっ面をしているだろうか。
「可愛いのね、シロー・・・」
 笑いをどうにか止めたアイナの唇が、俺の口に重なってきた。俺は目を閉じて、彼女のなすがままにさせることにした。
 ちゅ、ちゅと小鳥のようなキスの後は、お互いの口を割って求め合う。アイナの舌が、奥に引っ込めた俺の舌を捕らえようと、どんどん進入してくる。背筋をゾクゾクと甘い戦慄が走っていった。舌が捕まえられると、たっぷり唾液の含まれたそれが絡んでいく。糸引くような激しいキスの最中に、指でアイナの花芯を探ってみた。
 濡れている。しかもシーツを汚す程に。
・・・ああ、明日晴れるといいな、シーツの洗濯、大変だろうなあ・・・
 と考えながらも、中指の腹で敏感な突起をゆっくりと擦ると、たまらずアイナが顔を離した。再び甘い吐息を洩らすと身体が弓なりに反っていく。指の動きを加速してやる。
「あうっ、あう、あう、あん、あう!!」
 俺の肩を掴むアイナの手が痛い。それでも指の腹の動きが止まらない。
「あ・・・あ・・・あう、あう、あうっ!!」
 目を閉じたアイナの顔が、まるで苦悶に耐えているかのようだ。俺は少し心配になって、速度を弛めて尋ねてみた。
「痛いかい?」
 ゆっくりと顔が横に動く。
「ううん・・・その反対よ・・・」
 安心して指で突起を攻め続けてやることにした。途端にぴくんとアイナが震えだす。びしょびしょの花芯の中へ指が吸い込まれてしまった。手のひらの平らな部分で依然として突起を愛しながら、入りこんだ指をくいくいと動かした。
「あ・・・あん・・・あ、あ、あ、あ、あうっ!!」
 いよいよ花芯から愛液が吹き出していく。まったく無尽蔵だな、と思わずにはいられなかった。
 同時に失ったはずの足が、じんじんと疼いていた。
・・・ファントム・ペインってヤツだ・・・
 詳しいことは判らないのだが、人は切断した手足の痛みを感じるという。ないのに、痛くて痛くてしょうがないってやつだ。もっとも、今の俺は痛みではなく、疼きを感じているのだが。
「アイナ・・・アイナ・・・」
 俺は呪文のように名前を呼び続けながら、手を激しくする。うっすらと汗をかいている裸身が痙攣しているようだ。
「ああ、もう、もう・・・あう、あう、はあん、シロー・・・いくうっ!!」
 短く数回痙攣すると、アイナは達したらしい。再び、ベッドへどさっと倒れこんだ。
「・・・はあはあはあ・・・も、もうだめえ・・・はあはあはあ・・・」
 滑らかな頬にくちづけすると、アイナがキスをせがんできた。花芯に触れると、また新たに愛液が溢れている。
「アイナ・・・また濡れてきてるよ・・・」
「あん・・・え、や、やだあ・・・シロー・・・恥ずかしい・・・」
 暗くて判らないが、きっと顔が赤くなってるはずだった。アイナの花芯がまたもや濡れている。今度はわざとくちゅくちゅ音を立てさせながら、花芯の入口だけを擦ると
「いや、いやあ・・・恥ずかしい、そんな音・・・あん!ああっ、シ、シロー!!んっ!」
 ぎゅっとアイナがしがみついてきた。
「アイナ、上になって・・・」
 濡れ細った花芯から手を離すのは惜しいけれど、俺はアイナの身体の下になった。重い乳房を掴んでやると
「ん・・・はあっ・・・」
 と切なげな声がする。アイナが俺のペニスに手を添えながら、自分の花芯に宛がった。
「大好きよ・・・シロー・・・大好き・・・」
 キスをせがんでくる。俺はふと
「愛など、粘膜が作り出す幻想に過ぎん。」
 というアイナの兄、ギニアス・サハリンが吐き捨てた言葉を思い出していた。
 本当にそうだろうか?愛など幻想に過ぎないのだろうか?だが少なくとも、俺達は最初に粘膜ありき、ではなかった。もちろん、アイナを抱きたくなかったと言えば嘘になるけれど。
 アイナが腰を沈めてきた。俺は、天をも揺らさんばかりに腰を突いた。
「ああん、シロー・・・」
 絶句するアイナを突いてやる。小刻みに身体を震わせながら、貫かれた彼女は哭いていた。
「はあん、はあん、ああ、あ、あ、あ、あっ!!」
 アイナは最近とみに敏感だった。可愛い声で悶えてくれる。騎乗位でしかセックスが出来ない自分が恨めしかった。足さえあればいろいろ挑戦できるのに、アイナを悦ばしてあげられるのに、と思わずにはいられない。
「シロー、シロー・・・あん、いい・・・気持ちいい、こんなの、こんなの!!」
 髪を振り乱してアイナが叫ぶ。とろけそうな花芯に包まれた俺は、彼女の好きなように動いてもらっているのだった。自分の敏感な箇所にペニスを当てながら、登りつめようとする彼女がたまらなく愛しいのだ。
 俺は弓なりになろうとするアイナを抱きしめた。すべすべした肌の感触を、温かい体温を、甘い匂いを求めた。
「あん・・・はあっ・・・シ、シロー・・・ね、痛くない?苦しくないの?・・・あん!!」
「・・・大丈夫・・・アイナ、ね、いってよ。もっといって。」
「でも恥ずかしい・・・私だけ何回も・・・ああっ・・・そんなにしたら、ああん!!」
 激しく身体を動かすアイナのしなやかな動きを見ていたら、ペニスの根元にあった灼熱感が、徐々に先端へ移動していくのが判る。それを知ってか知らずか、奥まで深くペニスを咥え込んだ花芯が、更に吸いつきを増した。
 汗が目に沁みた。痛さと戦いながら、俺もアイナの動きに合わせて突き上げていく。
「アイナァ・・・アイナァ・・・」
「シロー・・・あん、いい、いいっ!!」
 灼熱感が頂点に達した。喘ぎ続けるアイナの体内に、俺のほとばしりが拡散していく。しっかと腰を俺に押し当てて更に快感を求めていく彼女は、俺が放つ度に短く叫ぶのだった。
「ああ、シロー・・・」
 繋がったまま、俺達は何度も舌を絡めあった。
・・・愛は粘膜が作り出す幻想か?・・・いや、きっと違う・・・違うはずだ・・・
 俺はそんなことばっかり、考えていた。

「やだ・・・恥ずかしい・・・」
 耳まで赤く染めたアイナが言う。俺は答えずに、そっと丸みを帯びた腹部に顔を押し当てた。
「シロー・・・シロー・・・ね、シローったら!」
 俺は返事ができずにいる。この耳を打つ鼓動は、確かに錯覚ではない。とくんとくんと血液の流れと共に、何かが息づいているような気がしている。
「こんなに丸くなっちゃって・・・醜いわ、自分のことながら・・・」
 困ったようなアイナの声も今は愛しい。膨らんだ腹部にずっと埋もれたままの俺を、きっと困惑した目で見ているに違いない。それでも俺は、乳飲み子が母の乳を懸命に求めるが如く、彼女の中から聞こえる鼓動を聞こうとしていた。
・・・とくん・・・とくん・・・とくん・・・
・・・やっぱり、いるんだ・・・
 俺はそう思った。不思議だった。アイナの身体に宿った生命・・・それは俺達の子だ。
 妊婦の姿になっても、アイナはやっぱり美しい。最近、鏡に写った姿を笑顔と少しのため息で見ている彼女の姿が、悩ましく見えてしまう。
「・・・やっぱりみっともないわ・・・この身体・・・ねえ、聞いてるの!?」
 俺はようやく顔を上げた。怒ったような困ったような表情のアイナがいた。
「妊婦って色っぽいなあ。」
「え?」
「妊婦は、最高にそそるよ。」
「ああ・・・だめよ・・・もうお医者さんにだめって言われてるの!」
 アイナが強引に俺の手を掴んだ。渋々乳房を触ろうとしていた手を休める。眉が逆になっているのが、少し恐かったりした。
 俺は情欲を感じている。男のペニスは常に、何処ででも、昂ぶりを感じてしまうものだ。朝、料理を出す時かがんだアイナの胸元、皿を洗うアイナのお尻、洗濯物を干す腰つき、夜、ほつれた衣服を縫うその後姿、疲れてウトウトしているその寝顔、そして獣のようにお互いを求め合う真夜中。普段は清楚なアイナが、夜には恥じらいながらも懸命に俺を求めてくるのだ。その切なさがいじらしかった。
・・・うわ、勃起しちまった・・・
 想像するだけでペニスが隆起している。パジャマを破りそうな勢いで痛いくらいだ。
「判ったよ・・・でも・・・」
 言葉を紡げられなくって俺は弱った。
・・・しょうがない、おとなしく諦めて寝るか・・・
「ね・・・我慢できないんでしょう?」
「そ、そんなことないよ・・・」
 アイナが突然に言うもんだから俺は焦った。
「お医者さんが言ってた・・・男の人が・・・あの・・・その・・・ええっと、我慢できなくなって困ったら・・・お口でしてあげなさいって・・・」
 月光の中、アイナが微笑んだ。まるでその笑顔が魔力を持っているかのように、俺は彼女の言いなりになってしまう。あっという間もなく、俺のパジャマと下着がするすると脱がされてしまった。
「アイナ・・・」
 ぱくっとアイナがペニスを含んだ。ちゅぽという音が聞こえ、彼女の口元からちゅる、じゅると音がする。視覚的に見てもあのアイナが、妊婦姿で俺にご奉仕しているというのは刺激が過ぎるというものだ。産婦人科の医者とは、かくもこんな卑猥なことを教えるのだろうか?
「はあはあはあ・・・ん、ん、んっ、ん・・・ちゅるちゅる・・・ちゅぱっ!」
 熱心なアイナの口唇がペニスを愛している。先端から溢れる液を啜り終わると、その亀裂に舌先が入って来た。そこでまた、どこで覚えたのかと思うくらい彼女は、吸い続けている。ちゅぽん、と音がして一旦離れるとペニスに舌が巻き付いてきた。れろれろとよだれでペニスが濡れてしまう。もちろん玉の部分は、華奢な指でずっと撫でられたままだ。その両面からの刺激が心地いい。
 ふとアイナの顔を見つめる。
 目をきつく閉じ、汗をおでこにうっすらと浮かべて、頬が薄紅に染まっている。可憐な唇からは、俺の醜悪なペニスが出たり入ったりの繰り返しだ。
「アイナ・・・気持ちいいよ・・・んあっ!」
 快感に身体をよじってしまった。目を開けたアイナが、嬉しそうに微笑みながら俺を見ている。そして俺の反応を楽しむかのように舌で強弱を加えている。
・・・すげえ・・・あ、あ、あ、・・・やばい・・・
 股間に発生していた灼熱感が、逃げ道を探している。すぐに発射してしまいそうだ。
 俺は五体満足ではないが、健康だ。当たり前の生理反応なのである。
「アイナ・・・そろそろ・・・そろそろ出ちゃいそう・・・んあっ!!」
 注意のつもりで言ったのに、アイナが吸い込みを強くしたのだ。唇をすぼめ、きつく圧縮するようにちゅうちゅうしながら、咽喉の奥まで入れてしまった。灼熱感が、もうそこまで来ているというのに。
・・・ちゅぱ、ちゅぷ、じゅぷ・・・
・・・ああ、アイナに似つかわしくない音だ・・・可憐で清楚なアイナの口が、唇が、舌が・・・激しく俺のペニスを・・・いたぶっている・・・凌辱している・・・舐めている・・・しゃぶっている・・・愛している・・・
 灼熱感が、怒涛の勢いで直立不動のペニスの中を駆け巡った。ミサイルのようだ。活火山の噴火(俺は映像でしか見たことがないが)みたいだ。
 アイナは離れるどころか、愛撫と舐めるのをやめようとしない。俺は彼女の口内に射精していた。2度、3度、精が打たれる度に俺達はぴくぴくと痙攣していた。
「はあはあはあ・・・もう、いいよ・・・気持ちよかった・・・」
 アイナの顔がようやく持ち上がった。まだ頬がプックラとしている。心なしかタレ気味の可愛い瞳が潤んでいるのは、俺が口内に出してしまったからだろうか。俺がティッシュを探すと、彼女はかぶりを切った。
 ごくんと咽喉が鳴った。慌ててアイナを見ると、白い咽喉元で俺の精液が嚥下されていた。
「飲んじゃったの?!」
「うん・・・濃かった・・・シローの・・・飲めないかと思った・・・」
 また、アイナがかぷりと俺のペニスに舌を伸ばしてきた。どうやら最後までお掃除してくれるみたいだ。
・・・うへ、くすぐったい!・・・いったばかりで、敏感なんだよ!!・・・
「きれいにしてあげるね、シロー・・・」
 抵抗も空しく全部舐められてしまっている。
・・・やっぱり、愛は粘膜が作り出す幻想なんかじゃない・・・
 俺はベッドに大の字になって窓を見た。外から月明かりが射している。それはアイナの妊婦姿をも、幻想的に写し出していた。

 爽やかな朝が来ていた。こんな日は、外でメシを食うのも悪くない。だが俺が言い出す前に、さっさとアイナが朝メシを外のテーブルに運び出していた。
「アイナ、無理しないでね。」
「大丈夫よ、これくらい。シローも気をつけてね。」
 松葉杖を引くこの身が少し恨めしかったが、外の光景を見て気分がすぐによくなった。
 真っ青な空。遠くに名前も知らない万年雪を頂いた山々が見えている。
「最高のロケーションだなあ。」
 隣に座ったアイナが返事をしないで、立ち上がった。顔が強張っているようだ。
・・・とうとう来たか、連邦軍の脱走兵狩りが・・・
 アイナの視線を追った。
 俺は松葉杖で立ち、しばらくしてから微笑んだ。

 今にも泣き出しそうなミケルとキキがそこにいた。

(了)

 

亭主後述……
08MS小隊です。アイナちゃんです。気に入ってます。タレ気味のあの瞳……いいっ!(爆)
結構、名(迷?)台詞が多かったですよね。
「ビーム兵器でお湯を沸かすなんて……」普通は考えませんね。
「なあ、風呂、はいんないか?」シローもよく言うが、入るアイナも、ちと変わってるかも。
「連邦の為じゃない!それでも仲間の為なら戦える!」か、かっこいい……
「生きて、アイナと添い遂げるっ!」プロポーズにしちゃあ、最高の言葉ですね。
「ジム頭はやめてくれよ。ジム頭はよ」カレン姐さん、いい味です。(キシリア=初代則巻アラレ=カレン?)
極めつけはマッドな科学者ギニアス兄貴の「愛など、粘膜が作り出す幻想に過ぎん」でしょうか……?
まあ、兄妹系のお話が多いガンダムワールドですから、ギニアスとかでもよかったんですけど。
彼は病弱だし、お約束な展開にしました。
脱走兵の身の上ですから、ティターンズ辺りに見つかったら銃殺かなあ?
幸せに暮らしてもらいたいです。
シャアの逆襲では、小惑星がチベットに落ちたので、安否が気遣われてます。引越してればいいけど。(笑)
ところで小説版は、結末が更にハードらしいですね。どなたか概略でも教えてくれませんか?(教えて頂きました、ありがとうございます。)
あとあと、BBの本名ってどなたかご存知?